高校生の時にすでに「定番中の定番」として読んだが、令和の時代に再読するともはや「時代小説」として読んだほうがいいかも知れない。
何しろ、東京-博多が遠いのだ。そして、携帯もメールもないから「電報」でのやり取り。博多への問い合わせの返事を翌日まで待つ、というスピード感。
実は私、最初に情死体が発見される香椎潟の近辺に住んでおり、女が「さみしいところね」と言った通りをまさに通学路にしていた。
なので、昔っから「香椎と言えば点と線(と香椎宮)」と言われながら育った。
読まれた方も多いと思うが、この香椎という町には国鉄(JR)と西鉄の2つの駅が500mくらいの距離に建っていて、それがこの小説の肝にもなるのだが流石に小説の面影は今はもうない。
ただ、かなり最近まで刑事が話を聞いた「果物屋」が残っていて、松本清張が実際に足を運んで書いたんだなぁというのがよく分かる。
とにかくこの地域の人に取っては思い入れの深い小説だし、何ならテントセンブックスというおしゃれな本屋まであるのだ。(高校の同級生が店主)
https://www.instagram.com/tentosenbooks/
物語はというと有名すぎるほど有名なのでご存知の方が多いと思うが、いわゆる「時刻表トリック」と「社会派ミステリー」。ちょっとヒトコワホラーも混ざっている気がする。
正直、時刻表トリックについては頭がイマイチついていけなかったんだが、「まあ松本清張がそう言ってるならそうなんだろう」という感じ。
私はどちらかと言うと張り巡らされた周到な犯罪計画について、動機の部分が結局は嫉妬心だったところが面白かったな。
連絡手段が「電報」のスピード感だからこその深く考える時間、足で稼ぐ執念みたいなものがピュアでよい。
何でも気になったことを手元のスマホで調べられる時代ではないからこそ、時刻表を使ってアリバイ作りができるのよね。だって、今なら経路検索でなんとかなりそうだもん。
高校生の時には気付けなかった「福岡の初老刑事鳥飼」の良さが光るわ~
ミステリ好きなら名前を知らぬ人がない名作です。舞台は昭和三十年代。福岡市香椎の岩だらけの海岸で寄り添う死体が見つかったのは、汚職事件渦中にある某省課長補佐と料亭の女中。青酸カリ入りのジュース瓶がのこされ、警察ではありふれた心中事件と考えた。しかし、何かがおかしい──と福岡の老警官と東京のヒラ刑事は疑問を抱く。うたがわしい政商は事件当時、鉄道で北海道旅行中。そのアリバイは鉄壁だった──時刻表トリックの古典にして、今も瑞々しい傑作ミステリ。
最近、でもないがビートたけしでドラマ化して有名になりましたね。
先ほどレビューを見たら「人生で一番スキ」とまで書かれていて、あんまり真剣に見ていなかったことを後悔している。
次に読みたい本
こ、これは読みたい・・・

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