染井為人の「滅茶苦茶」を読んだ。
最悪だけど、最低ではない——そんな終わり方に、少しだけ救われた。
「滅茶苦茶」は、コロナ禍のうつうつとした日常を“心のコロナ”として描いたサスペンス小説。
やることなすこと、何もかもが裏目に出る怒涛の展開。まさにタイトル通りの「滅茶苦茶」な目にあう三人の主人公が登場するのだが、それぞれがメインを張れるくらい濃密な物語を背負っている。(本人たちも「話盛ってない?」と確認するほど)
一人目は、ラブホテルを経営する中年男性。持続化給付金が業種によって対象外とされ、自分の職業が否定されたように感じる怒り。その不満をうっかり漏らしたことから、給付金不正受給という犯罪の片棒を担ぐ羽目になってしまう。
二人目は、東京の広告代理店に勤める30代後半の女性。マッチングアプリで出会ったアジア系イケメンと恋に落ちるが、相手はロマンス詐欺グループの一員だった。孤独がもたらした油断が、思いがけない闇とつながってしまう。
三人目は、進学校に通うも成績が振るわない男子高校生。居場所のなさに悩む中、かつての同級生と再会する。彼はバキバキのヤンキーになっており、最初は戸惑いながらも、楽しさに流され、徐々にやんちゃな連中とつるむようになる。彼らは信じられないくらい刹那的でついにはヤクザとのトラブルに巻き込まれていく。
この三人の人生が交わることなど、本来ならありえない。年齢も性別も背景も違う彼らが、それぞれの底を這いつくばった先に、偶然出会う。その邂逅の瞬間、「滅茶苦茶」だった物語に一筋の光が差し込む。
読み終えて、「人が転がり落ちるときは一気だな」と、妙にリアルな恐怖が残った。
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「最悪だ。もう逃げ場がない」三人三色の人生が転落しながら絡み合う、絶叫的ミステリー。
【話題作『悪い夏』『正体』を超える切迫感!】仕事は順調、東京でシングルライフを謳歌する30代女性が始めた不穏な恋愛。下校中、不良に堕ちた元級友に再会した、とある北関東の高校生。老朽化したラブホテルを継ぐが経営不振に陥った静岡県在住の中年男。
刹那な現代をサバイブしながらも、孤独を胸底に抱える者たちの欲望に駆られた出会いは、彼らをまっさかさまに谷底に突き落とす。圧倒的な言葉の迫力! 予測不可能な滅茶苦茶な展開の数々。絶望の淵で思わず涙腺が緩む。
岩谷翔吾(THE RAMPAGE・ブックレビューサイト「岩谷文庫」執筆)「いい気味」か「かわいそう」か? 彼ら自身が招いた命からがらの転落劇。滅茶苦茶なんだけど最低じゃない!
―吉田大助(書評家)予想外の読後感! 転落人生の奇蹟の交錯が閉塞感に風穴を開ける、これぞ染井マジックというべき快作。
―宇田川拓也(ときわ書房本店)
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