昨日のニュースで漫画家、秋山ジョージさんの訃報を聞いた。
正直、名前は知っていたたけれど読んだことないなーと思っていた。
先月までは。
実はゴールデンウイークの間に、kindleunlimitedで見つけた合本版を読んでいたのだ。
貧しさ故に病気の母を亡くした風太郎は、「金こそすべて」と、金のために生きることを決意。
大会社の社長のイスを手に入れた風 太郎だったが、そのために何人も殺し、恨みを買い、刑事につきまとわれる日々。
金があっても風太郎に平穏が訪れることはない――。人間の心の 闇を鋭く描く、ジョージ秋山の代表作!
犯罪者を主人公に据えた重厚な物語。
一番最初の殺人が衝撃的。
貧しさゆえに医者を呼ぶことができず母を亡くした時、仲良かった兄ちゃんに泥棒をいさめられて殺してしまう。
まだ子供だったのに。
風太郎のその後の人生は、最初に殺してしまった兄ちゃんの持つ「よい心」の部分を見ないように、押さえつけるようにただひたすら金の亡者になる。
まさしく、金のためなら人殺しもいとわず、好きな人も殺し、我が子も殺し、警察官も殺し、とにもかくにも殺しがばれそうになったら殺すという、感覚麻痺。
でもずっと愛されたかっただけなんだろうとは思う。ダメだけど。
そしてダメだけど、頭もいいし度胸もあるしでベクトルが違うが成功者になってしまう。
しかし最後まで「こんな自分を愛してくれる人」を探していた彼は結局最後はびっくりするほどあっさりと命を手放してしまうだよね。
かなり強い心を持ってから読まないと、露悪的過ぎて辛くなるかも。
秋山ジョージ先生はこの話で何を伝えたかったのかなあ。
考えさせられることが多いのは松山ケンイチでドラマ化されていることでもわかる。
kindleunlimitedで読めるので、このタイミングに心を強く持ってぜひ。