iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

「孤独まんが」わかりやすい漫画ばかりではない。

山田 英生 編の「孤独まんが」を読んだ。

わかりやすい漫画ばかりではない。

どっちかというと、文学的というか、物語る漫画ばかりだ。

 

しかもこれは「孤独」をテーマに集められた漫画ばかり(でなんで私こんなの買ったんだろう)

でも、1話目が「諸星大二郎」で3話目が「近藤ようこ」と私の好きな漫画家さんばっかりだからさ、こりゃ買いだなとおもっちゃったのよ。

 

半分以上知らない(昔の?)漫画家の作品だったが、面白かったものの感想を

 

地下鉄を降りて…… 諸星大二郎

いつもの帰り道、ちょっとだけ寄り道をしようと思った男は迷路と化した東京の地下街で地上を探し続ける。ようやく地上にでたと思ったら何故かビルの屋上で・・・

これは、怖い。知っている道から一筋外れただけなのに、都会の喧騒の中にいながら孤独に歩き続けることになるのだ。

山奥で遭難するのと何も変わらない。

 

お通夜の客 滝田ゆう

落語のような、というか落語そのものかな。絵がかわいいな~

お通夜のときに昔は町内の若い衆が寝ずの番をしていたが、そこに一晩止めてくれと旅のものが訪れる。

死人の番におそれをなしていた彼らはこれ幸いと、旅人に番を押し付けて帰ってしまう。

だが、旅人は恐れるどころか死人を起こして酌までさせる始末。

孤独?というより、愉快な一作

 

紙魚 水木しげる

ある男の異動先研究所は、書物につく「紙魚」を一匹一匹取るのが仕事であった。

そんなつまらない仕事!と息巻く男に所長は「成功虫」なるものを渡す。

この虫を飲み込むと成功間違いなしと聞き迷いもなく飲み込む男。

彼が、トントンと出世するが出生しても忙しくて何の喜びもないことに気づいてしまう。

やがてからは、虫下しを飲んで成功虫を駆除しまた「紙魚を取る仕事」に戻ってくるのだ。

水木先生が語る「成功」と「幸せ」の違いがよく分かる寓話のようなお話。

 

 

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ちくま文庫のこの「〇〇まんが」シリーズ、ついつい買っちゃうんだよ。

わかりやすい漫画ばかり読んでいる私にとっては、ちょっとした背伸びなんだよねー

でも、ちょっと賢くなった気もする(気の所為かもしれない)漫画文庫。

 

 

 

孤独まんが (ちくま文庫 や-50-7)

落伍、無用、風狂、隠遁…。
ぼっちを生きる
まんがアンソロジー




【目次】
落伍
地下鉄を降りて…… 諸星大二郎
おへんろさん いましろたかし
白粉小町 近藤ようこ
黒い蝶 ハン角斉

無用
仮面 永島慎二
石を買いに来た女 太田基之
お通夜の客 滝田ゆう
きびしい試練「パットマンX」より ジョージ秋山
日常生活 篝ジュン

風狂
思い出のおっちゃん うらたじゅん
夜の蟬 つげ忠男
あぶれもん かわぐちかいじ
久しぶり 安部慎一

隠遁
沼南「武蔵野」より 斎藤潤一郎
山椒魚 つげ義春
紙魚 水木しげる

エピローグ
それから 穂積
ひとつの火 カシワイ(原作・新美南吉

編者解説 山田英生

次に読みたい本

 

戦争と漫画 銃後の物語 (ちくま文庫や-50-10)