背筋の「穢れた聖地巡礼について」を読んだ。
先日読んだ「近畿地方のある場所について」とは違い、いくつかの怪談エピソードが詰め込まれていたものの、ストーリー性に重きが置かれていて読みやすかった。
「穢れた聖地~」では、いくつかの心霊スポットについて調べるうちに、実はすべて六部殺しの話とつながっているのでは?という気づきを導き出す物語だ。
六部とは巡礼者のことで、昔から「六部殺し」という怪談や民話で有名。
いろいろな人の物語でも引用されていたと思う。
基本のエピソードは巡礼中の六部の金を殺して奪ってしまう話(そしてそこからつながる怨念の話)だが、その後、幼い息子が六部のような顔で
「お前が俺を殺したのもこんな晩だったね」
というエピソードは初耳。
フリーの編集者、小林が怪談に対する解説をする役目で、最初は結構冷酷なことを考えていたくせに、最後はいい奴になって終わったところとか、
口では「おばけなんてなーいさ」と騒ぎ立てているユーチューバーの池田とか、キャラクターがしっかり物語を回している。
ウムウム、と面白かったーと読了したのだったが、先程他所様の「考察」を読み、自分が半分くらいしか理解していなかったことを知る。
いやー考察する人たちってすごいなぁ。
しかし、最近はこの考察も見越して作品を作ったりするらしいですな。
物語にたくさんの「生まれ変わった六部」が出てきているとか。
両親に愛されずに育った男が悩む話があるのだが、それも六部の生まれ変わりの息子だったから、なんていうのは、ちゃんと読めば気づけたはずなのに、考察を読むまでわからなかったもんね。
なんだろう、背筋の物語は考察が進む、やっぱり仕掛けが多いなトリッキーな作者なんだな。
げんきなあなたがうまれます
フリー編集者の小林が出版社に持ち込んだのは、心霊スポット突撃系YouTuberチャンイケこと、池田の『オカルトヤンキーch』のファンブック企画だった。
しかし、書籍化企画を通すには『オカルトヤンキーch』のチャンネル登録者数は心許ない。企画内容で勝負するべく、過去に動画で取り上げた心霊スポットの追加取材を行うことに。
池田と小林はネットなどで集めた情報をもとに、読者が喜びそうな考察をでっちあげていく――。
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(『オカルトヤンキーch』ファンブックより一部抜粋)
『変態小屋の真相判明!』
もともと変態が盗撮した写真のコレクションを保管するための場所ではないかという噂で有名だった当スポットだが、我々の追加取材によりここが実は全く別の目的で使われていたことが判明。
さらに動画内に映っていた一枚の写真が、とある女性の自殺直前に撮られたものであることを突き止めた。この写真に写った女性について、次項で詳しく考察していく――。
次に読みたい本
2日連続ホラーだったので、今度こそハートウォーミングストーリーを読みたい。
久々の新刊発売。たのしみ。