背筋の「近畿地方のある場所について」を読んだ。
最近、「ジャパン・ホラーの現在地」でこの作品について言及されているのを読んで、確認のための再読だ。
前回読んだ時はわかっていなかったことがあったので再読だ。
エンタメ小説だからそんなに真剣に理解する必要はないのだが、答え合わせをする感覚。
「ジャパン・ホラーの現在地」自体は主にホラー作家へのインタビューでとっても興味深い。
さて、近畿~についてだが、初回読んだ時は話がパラパラととんでとりとめがないな。。でも最後の告白はやられた、という感じだった。
だが、これはあえて背筋さんが「今まで聞いたことがあるような怪談をつめこんで、ホラーの幕の内弁当」のように作ったからだとわかって腹落ち。
だから、なんだかとりとめがないというか、わかりにくい、聞いたことのあるような、ないような話がくりかえされていたのか。
ちなみに、聞いたことのあるような、というのも悪口ではなく一種の演出とのこと。
なんか子供の頃こういうのがこわかったよねーというノスタルジーを狙っているらしい。
それから、最後の終わり方の後味の悪さも本書の特長の一つだと思うのだけど、これもはっきり
「フィクションです、むしろ本気に捉える人がいるとは思わなかった」
と言っていてちょっとびっくり。
読み終わった時「これって、マジ?じゃないよね??」としばらく引きずってしまったのに。
はっきり「フィクションですよ」と書かれていないけど、そのくらい「ホラーの嗜み」としてわかるべきだったのだね。
うっかり真に受けちゃって恥ずかしいわ。
ちなみに背筋さんがどんなに「あれはフィクションです」と言っても「なにか本当のことを言えない理由があるんでしょう?」という人たちがいるそうである。
だって、上手すぎるんだもん。
先日読んだ口に関するアンケートでも思ったが、この、仕掛けられた!っていう感覚がこの人の持ち味なのかもしれない。
さて、Audibleでこの人の新作「汚れた聖地巡礼について」が読めるようになったので一作目読んでない人はぜひぜひ。
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