誉田哲也の「首木の民」を読んだ。
このタイトルにこの表紙、さては民俗ミステリー系かしら?と大期待をし読み始めたが、私の勘は当たらず、社会派警察小説(そんな派閥あるか知らんが)だった。
だが、社会派といっても重苦しいお硬い感じではなく登場するキャラクターたちに愛嬌があるというか、もはやちょっと漫画っぽくさえある。
ストーリーはミステリとしては、特別なトリックがあるわけでもなく、その犯人の捕まえ方もラッキーパンチがあったたようなもので、ミステリとしては凡作(失礼)だけど、経済小説と考えると、とても面白かった。
この話は、せんに亡くなった「森永卓郎」さんが出版した「ザイム真理教」をそのまま物語に落とし込んだかのようで、旧大蔵省・財務省の官僚たちがどんなロジックで国民に税務を押し付けてきたのかがわかりやすく書かれている。
逮捕された久和という男は、元財務省の役人だ。
国債発行すべしと現在の財務省の考え方と真っ向対立して退職、現在は大学の客員教授をしている。
冴えないおっさんとして描かれる佐久間は、取り調べをするうちに彼の経済についての講義を受ける羽目になり、最初はぼやきつつもその面白さに虜になってしまう。
その、取り調べ中の久和の供述内容が「ザイム真理教」に書かれていた様な話で、
私達国民は、国債=借金だから未来の子どもたちのためにもなるべく国債を発行せずに税金を引き上げる方向で頑張ろう、と言われて、特に賛成もした覚えもないがただひたすらに税金を取られている。
だが、国債はしょせん日本政府が日本銀行に借りているだけ、外国に借りているわけではないのだがら、どんどん発行してお金を投入したらええんや!という話である。
・・・だいぶん乱暴に略したので気になる方はぜひ読んでほしい。
国民の怒りを代弁するライターも出てくるので、「やっぱり、これは怒ってもいいんやな」と思った。まあ、そのライターは殺されてしまうのだが。
小説的には、未来は明るいよね?くらいにいい感じに締めくくられているが、
果たして私が生きている間に、財務省の体質にメスは入るのか。
そんな、「感想文が社会派」になってしまう警察小説だった。
読みやすいしいい勉強になるのでおすすめ。
ちなみにタイトルの「首木」は動物を何頭か追い使うときに同じ方向を向くように横向きに渡した木のことらしい。イメージ湧くだろうか?
首木の民ということは、私ら国民に同じ向きを向かせ扱いやすくするためにつけらた枷があるってことだ。
この国の閉塞感に気づいちゃった人は、一度読んだほうがいい。
大学の客員教授、久和が窃盗と公務執行妨害の容疑で逮捕された。運転する車の中から、血の付いた他人の財布が発見されたのだ。久和は内閣府が設置する経済財政諮問会議に参加したこともある経済政策通だが、警視庁志村署の佐久間に対し「公務員を信用していない」と言い、取調べは進まなかった。一方、財布の持ち主を捜していた志村署の中田は、フリーライターの菊池に行き着く。菊池は交通事故を探っていたが、その事故には財務省のある人物が絡んでいた。
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