芦沢央の「魂婚心中」を読んだ。
まさかのSFだった。いや、(イヤ)ミステリー作家の印象が強かったからさ・・・
本人もあとがきで「私がSF書いていいんですか」と書いていたけど、ちゃんとSFだったし、スリリングな展開はさすがという感じ。
SFと言っても宇宙船や宇宙人が出て来る話ではない。地続きの有りそうな近未来の話や超能力を持って生まれた少女の話など、さすが芦沢央という手触りの作品ばかり。
6つの短編からなるSF傑作選
魂婚心中
ゲーマーのGlitch
二十五万分の一
閻魔帳SEO
この世界には間違いが七つある
九月某日の誓い
面白かった話をいくつか紹介する。
魂婚心中
「冥婚」をテーマにしたSFというかサスペンスだね。
昔から一部の地域では、結婚をせずになくなった若者にたいして、死後に結婚をさせる風習があるらしい。小説の中では「死んですぐ同士」と言うことになっているが、私が聞いたのは「死んだ青年」と「無理やり結婚させられる生きた嫁」の話だった。
最初から未亡人パターン。
日本ではそこまで過激なやつではないらしく、「ムサカリ絵馬」の風習が残っている。
未婚で死んだ男性の婚礼の様子を絵馬で収めるのだ。架空の嫁だそうで、一安心!
魂婚心中の話は、近未来この「冥婚」の風習が復活して、未婚のものは死後の婚活アプリ「konkon」でマッチングした相手と「告別式からそのまま結婚式」に。
葬式も両家で出すことになる世界だ。この時代になると、「死後に冥婚が成立しないのは親族に対して申し訳ない」らしく、あらかじめみなkonkonに登録して、就活(婚活)に躍起になっているのだ。
2つの棺を合わせて火葬することが「ロマンティック」らしい。
この話は、推しのkonkonのリアルアカウントを見つけてしまった女性が、同時に死ねば冥婚することができると思い詰めてしまう話。
推しに対する思いとか、私の知らない新しい文化がとてもおもしろい。
閻魔帳SEO
これは、かなり風刺が聞いているとおもうぞ!
SEOは本来なら、検索エンジン最適化のことでホームページの業者とかが良く振りかざすやつですな。
私も仕事でかかずらわっているので「クソが!」と思っているのだが、おっと、失礼。閻魔帳SEOの方は、地獄行きか天国行きかを決める際に判断基準となる人間の罪状リストが可視化されるようになった世界。
みな、それぞれの罪状リストを観ることができので、最初は喧々諤々としているが、そのうち閻魔様の判断基準ををハックできることに気づく。
閻魔帳に乗るように死ぬ直前にいいことをしたり、過去の罪状をより軽いツミで上書きしたり、「ちょこざいな小細工」ができるようになったのだ。
本当に、ちょっと前のSEO対策業者みたいな話で爆笑である。
ちなみに私は仕事でかかずらわっている関係上、このブログがSEO的にダメダメなことも承知だ。そのうち整えよう整えようとおもいつつまだやらぬ。
ちなみに第二弾がだが、SEO対策って結局は「テクニックじゃなくて中身」なんですよー
結構「ホームページ作ったその日から検索に引っかかる」と思っている人が多いけどホント甘いからね。
3週間はあがってこないし、一位になるにはそれなりの努力が必要。
よくあるアフェリエイターの努力とかマジですごいから。かなり勤勉じゃないと勝てない世界です。
後半、仕事の愚痴でヒートアップしちゃった。
もしも死後結婚のマッチングアプリがあったら? ベストセラー作家が贈るSFミステリ傑作集 死後結婚用マッチングアプリ「KonKon」が普及した社会で、推しのアイドルの秘密のKonKonアカウントを見つけてしまい感情爆発した社会人女性がとんでもない凶行へと驀進してしまう表題作のほか、この現実とちょっとだけ異なる世界の謎と関係性の物語、全六篇!
次に読みたい本
怖いよーこわいよーと思いながら読む。