なんともいえぬほんわかした話で、ある意味理想郷を描いた作品。藤野千代の「団地のふたり」を読んだ。
「団地のふたり」の二人は、ジャスト団塊ジュニアで私も同世代。
最初から最後まで事件らしい事件もなく(あるとすれば5日で仲直りする喧嘩くらいか)仲良しの二人の暮らしが淡々と描かれる。
取り残された昭和のような団地住まいの二人は、マンモス団地で育った保育園からの幼馴染。そしてどちらも一度は独立するも現在はシングルで高齢の親と同居してしている。
私も小学生の6年間同じようなマンモス団地に住んでいた。
団地の中に幼稚園、小学校、スーパーまであり、ある意味閉じられたワールドの中で生きていた。本当に金網フェンスで囲われていて、その外に出ることは小学生の私に取ってはかなり非日常だったことを覚えている。(今考えるとなんであんなに出入り口が限定されていたんだろう。進撃の巨人か?)
あそこにずっとすみ続けていたら私にもこんな生活がおとずれたのかなぁ?
でも、私だったらその状態で人生をたのしめるかな。少なくとも「結婚してこどもを産んで一人前」という同調圧力にはさられたとおもうんだよねー耐えられた気がしない。
ある意味、その他大勢に紛れずに生きるというはしんどいことだと思う。
いらぬお世話か。
そんな変わらないままの生活がいつまでも続くとは思えず、(少なくとも団地はいつ取り壊されてもおかしくないほど老朽化と高齢化が進んでいる)考え方次第ではどん詰まりの閉塞感を感じそうなものなのに、二人は全くどこ吹く風。自分のやりたいように生きている感じ。
二人でこたつに入って配信映画を見たり、頼まれて老女宅の網戸を直したり、自転車で30分釣かけて釣り堀に行ってみたり。
なんだろう、自分たちのことを「少なくともはぐれものではある」と語りつつも手元にある幸せだけをめでていられるって、素晴らしいことだな。
宮沢賢治じゃないけど、そういう人に私はなりたい。
50歳、独身、幼なじみ。
小さな恥も誇りも初恋もほとんど全て知っているから、のほほんと気楽でいい。
話題書『じい散歩』の著者・藤野千夜 最新作
五十歳を迎え、生家である団地に戻った幼馴染の二人、なっちゃん(桜井奈津子)とノエチ(太田野枝)。売れないイラストレーターのなっちゃんは今やフリマアプリでの売り上げが生計のメインで、ノエチは非常勤講師の仕事のストレスを日々友に吐き出す。保育園からの付き合いの二人がゆるく、のんびり毎日を過ごす。
友情をユーモアと温かさたっぷりに描いた傑作。
NHKでドラマ化されているみたい。2024年9月~って書いてあったのでまだやってるのかな?
小泉今日子と小林聡美のW主演である。私は、イラストレータのなっちゃん役が小泉今日子かと思ったら逆だった!
次に読みたい本
実は読んだこと無いんだけど小林聡美といえばエッセイも数多く手掛けている。
そして、小泉今日子も書評集をだしている。しらべたら結構たくさんでていた。
ふたりともガッツリ本を読む人なのだな(仲間じゃんか!)