赤川次郎の「たそがれの侵入者」を読んだ。
赤川次郎といえば、昭和から令和をまたぐ大ベテランだが、その筆致はまるで衰え知らず。この人、まだこのテンションで書けるのか~。
朗読ナレーションがとても良いという噂を聞き、久しぶりに手に取った(というか耳にした)「たそがれの侵入者」だったが、いやはや、あっという間に物語に引き込まれてしまった。
登場するのは、裏社会の住人ながら家庭では妙に幸福そうな男・久米(50代前半)と、資産はあれど旦那と息子がかなりのクズ未亡人・野々山あすか。(でも娘と孫はいい子!よかった!)
片や裏稼業、片や上流階級。交わるはずのない二人の人生がふとしたきっかけで交差し、やがて別れていく——という一応の筋はあるものの、そこに至るまでがまあ賑やかで目まぐるしい。
まず驚くのは、女子高生を殺して逃亡中の教師に、次々と女性たちが騙されるくだり。いや、どんだけフェロモン撒き散らしてんの?とツッコミたくなる。
そしてその裏で野々山あすかの息子を手玉に取る女、それを操るさらに別の女。さらには、久米に恨みを抱き、刑務所を脱獄してまで復讐に現れる男や、10年以上音信不通だった元夫が突如現れ、現彼氏を襲撃するなど、まさに事件ラッシュのオンパレード。
「たそがれの侵入者」は、まさに“錯綜”という言葉がぴったりの展開で、一つひとつのエピソードが濃くて、気が抜けない。これだけ同時並行で事件を詰め込みながらも、読者を迷わせず、しかも最後まで面白く読ませる筆力はさすがの一言だ。
そして極めつけは、ラスト近くに訪れる、野々山あすか(78)のまさかの愛の告白。
もはや、ここが一番衝撃シーンではなかろうか。
全体を通して、どこか現実感を保ちつつ、でもフィクションらしい派手さも併せ持つこのバランス感覚。赤川作品の持ち味は健在で、「たそがれの侵入者」も例外ではなかった。
多少「え?結局なんで元旦那切れてんる?」とか思ったりもするが、なんだかんだ広げた風呂敷を全部回収して、きっちり着地させるあたり、ベテランの貫禄を感じずにはいられなかった。
あ、ちなみにナレーションは確かにすごく良かった。若々しい声も、落ち着いた声も、女性の声も嫌味なくすっと入ってくる。
しらべたら、Audibleで活躍中の池添朋文という方で私も何回かこの人の朗読で聴いた作品があった。
ナレーションからつながる読書っていうのも新鮮かも。
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裕福な暮らしをする野々山あすかと、窃盗をくりかえしながら裏社会で生きる久米明日香。あすかが友人と話している場に偶然居合わせた久米は、とある高級老人ホームの存在を知る。
侵入を企む久米だったが、かつての仲間の不穏な動きによって事態は思わぬ方向に動き出し――。人間模様が複雑に絡み合う傑作長編サスペンス。
次に読みたい本
破滅的な逃亡を繰り返す教師に、「復讐するは我にあり」を思い出した。
もちろん、赤川次郎の筆致はあくまで軽快でイメージは違うんだけど、
ぱっと見人好きがする連続殺人鬼というイメージが重なる。
ってちゃんと観たとこないんだけど。

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