iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

『五つの季節に探偵は』少女の成長と探偵の宿命

いやー先日は一生懸命書いた「YABUNONAKA」の感想文を投稿していなかったようで残念だ。あんなに頑張って書いたのに。

なんで、一日に2つも投稿しちゃう。

 

逸木 裕  の「五つの季節に探偵は 」を読んだ。

 

初読みの作家さん。

「五つの季節に探偵は」は、連作短編集の形をとっているが、語られるのは主人公・みどりの一人の女性の変遷と、その内側に眠る探偵としての本質だ。

 

読み始めは、「なにかの取り柄があるわけでもない普通の女子高生」に見えるみどりが、ひょんなことから友人の尾行を頼まれ、意外な才能を発見してしまう——という導入だ。だが、それは才能というより、“真実を明らかにせずにはいられない”という性(さが)なのだと、物語が進むにつれてわかってくる。

 

高校から大学、そして社会人へと、季節をめぐるようにみどりの人生が描かれるが、「五つの季節に探偵は」の中で、彼女が変わるというより、むしろ“削ぎ落とされていく”感じがした。探偵としての才覚が開花する一方で、真実を告げることが誰かを不幸にすることもある、という矛盾にもぶつかっていく。

 

第3話で、年上の同僚(元警察官)と調査を行うエピソードがあるのだが、あとがきを読むまでこの男が後に彼女の人生のパートナーになるとは気づかなかった。あまりにもさりげない!そういう目で観たかったわ。

 

あらすじ紹介には「ビター」という言葉が使われていたが、確かに。

若い女性が主人公であることから、軽やかなコージーミステリを想像しそうになるが、彼女は決して事件を“ふわっと”まとめたりしない。むしろ、真実に手を伸ばすその姿勢は頑なだ。(先日の刀城言耶みたいに犯人に情をかけて謎解きもしないで帰京したり絶対しないのである。)

 

 

特に印象的だったのは、4話目の「指揮者とピアニスト」の話。音楽に関わる人々の緊張感と、隠された過去が交錯する構成が見事で、日本推理作家協会賞を受賞したというのも納得。この手の落ちって、自分の思い込みやバイアスがじわりと浮かび上がってきて、やっちまった、っていう気になるよねー

 

 

この作品はAudibleで聴きました。体験はこちらから!
\ 無料体験中でも12万冊以上が聴き放題 /
👉 Audible無料体験(Amazon公式)
リンク先:https://amzn.to/44JJJWy

 

 

 

五つの季節に探偵は (角川文庫)

第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞! 精緻でビターな連作短編集

私立探偵として活動するみどり。“人の本性を暴かずにはいられない”彼女は、いくつもの事件と対峙する――。第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞! 精緻でビターなミステリ連作短編集。

次に読みたい本

諸星大二郎の新作が出ていた。寡作な先生も辛いが・・・めっちゃ速筆なのか?
結構なお年のはずなのに、すごいな!
(で、私は買ってしまうのか?節約に成功するのか!?)

槐と優 (単行本)