横溝正史の三つ首塔をよんだ。
今作では我らが金田一耕助はあんまり活躍しません。
最後に現れてさらりと事件を解明するのですが、ほとんどが事件の渦中に投げ込まれた音禰(おとね)嬢の視点から物語が語られます。
八つ墓村のように、最後に音禰がまとめた手記の形をとっています。
少女時代に両親をなくし、伯父宅に引き取られた音禰に、遠縁の玄蔵老人からの遺産、それも百億円相続の話がまい込んできた。しかし、それには見知らぬ謎の男との結婚が条件だという。思いもかけない事態にとまどう音禰の周辺で次々と起きる殺人事件。おびただしい血が流された魔の惨劇の根元は、玄蔵が三人の首を供養するために建てた“三つ首塔”に繋がっていた――。
勘のいい方にはネタバレかも
(ここからネタバレをしてしまいそうなので、記憶の栓をゆる~くしておつきあいください)
さてこの話、
自分で言うのもなんだが(と自分で書いていた)清く正しく美しく育った令嬢、音禰が突然現れが素性のわからない男と激しい恋に落ちてしまう。
警察から追われる身となりながらも、男と一緒に三つ首塔の謎を解く、という話なんですが・・・
しかし!!その恋への落ち方が非道!
殺人事件を見て失神し、寝かされているところを男に襲われ、あろうことか純潔を手折られてしまうのです。
しかも、それをものすごく悔やみながらも、自分にも非があるのかもしれない・・・私にも○○の血が流れている・・・とまで思い詰めてしまうのである。
いや、通報しよう、そこ!
っていうか、その出会いで恋には落ちんやろ!
出会いじゃなくて被害やしな!
しかし、時代なのか?横溝正史を含む男どもの都合の良い妄想なのか?
音禰は最終的に「正しい人と結ばれたのだった。」と解釈してしまうのですよ。
・・・ンなわけ、あるかいな!!
本文中の言葉を借りるなら「なんぼなんでもあんまりです」
と、憤ってしまいましたが最後まで誰が犯人かわからないスリリングな展開と、それはそれはたくさんの人間が死んでいくせわしなさで、最後まで一気読みでした。
音禰は、警察の手から逃れているため、今回金田一耕助が敵になるわけで、
手記の中では「もじゃもじゃ頭の小柄な男」などと、まあまあの悪口言われっぱなしでした。
金田一耕助のイメージ
映画やドラマになる金田一はもじゃもじゃ頭とお釜帽は忠実に再現していますが、
小柄で貧相、ではないですよね~
ヒーローにはやはりある程度かっこよくあってほしいものだし。
でも、横溝正史氏は一番イメージに合う金田一耕助は「渥美清」と言ったとか。
いろんな人がやられてますな。中井貴一とかもしてるんだ~
豊悦はものすごく印象に残ってるな~美麗なバージョンの金田一ですな。
もう一回見たい!
とはいえ私の中では古谷一行なんですがね。