松下龍之介 の「一次元の挿し木」を読んだ。
冒頭から読者を不穏に引きずり込むような表紙のインパクトにまず心を掴まれる。よく見ると、紫陽花の枝だと思っていた部分が人骨――細部まで意味深に仕込まれたビジュアル。良きかな。
「一次元の挿し木」は、2025年「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。読み始めてすぐに「なるほど、こりゃ大賞だわ」と納得させられる。
主人公の悠は、美青年ながらどこか暗い影があり心ここにあらずで、物語全体に不穏な色を添えている。
彼が探しているのは、かつて失踪した妹。ただ、その妹のDNAが、なんと200年前の人骨と一致してしまう。え、どういうこと?と混乱する読者をよそに、悠はその謎を追って人を訪ね歩くが、ついには「妹など存在しなかった」と言われてしまう――もう、頭の中がぐるぐるだ。
正直、「妹と200年前の人骨のDNAが同じ」という謎に対して、どんな解が用意されているのかと期待していたが、安易なトリックやすり替えではない方法が用意されていて、なかなか良かった。そーきたかー。科学者の倫理観を問うてくる。
クローン技術、DNA、アデニン、チミンといったキーワードが飛び交い、理系ミステリーの趣。かと思えば、突然現れる謎の大男がホラーっぽい雰囲気を醸し出し、そして最終的には漫画かと思うほどの派手なバトルシーンに突入するという、ジャンルを跨ぎまくる怒涛の展開。とにかくサービス精神が旺盛すぎるエンタメ小説である。
ネタバレになるので詳細は伏せるが、最期の最期で「実は〇〇だったけども、〇〇で・・・」という二段構えの急展開にひっくり返りそうになった。ラストまでまったく気が抜けない。これは映像化されても面白そうだが、さてだれが美青年を演ずるか。
「一次元の挿し木」というタイトルも、読後には深い意味を持って迫ってくる。かっこいいタイトル。
ひとつだけ難を言うなら、視点の切り替えがやや多めで、過去と現在を行き来する構成は、集中力が必要かもしれない。
ま、集中しろよ私。ってことですかな。
それにしてもさすが大賞作品、おもしろかった。
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二百年前の人骨のDNAが
四年前に失踪した妹のものと一致!?
ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝学を学ぶ悠がDNA鑑定にかけると、四年前に失踪した妹のものと一致した。不可解な鑑定結果から担当教授の石見崎に相談しようとするも、石見崎は何者かに殺害される。古人骨を発掘した調査員も襲われ、研究室からは古人骨が盗まれた。悠は妹の生死と、古人骨のDNAの真相を突き止めるべく動き出し、予測もつかない大きな企みに巻き込まれていく——。
次に読みたい本
作中、有名な絵画の話題が出るのだが(あっという間に忘れてしまう)
たしかこどもを食べるやつ・・・・ここまで出ているのに。
こんなときは勉強だ!

