田渕 久美子の「ヘルンとセツ」を読んだ。
小泉八雲とその妻セツの物語。
次のNHKの朝ドラになるとかならないとか。(いやなるって書いてあった)
そうでしょう、そうでしょう。なんかとても胸があたたかくなる展開であった。
明治になり、それまで裕福だった実家が士族の商法の失敗で没落したセツ。
セツは小泉家から養女として稲垣家へ迎えられている。
セツにとって2つの実家はどちらも没落し、彼女は両家の働きがしらとして深く家族に縛り付けられる。
働き詰めで貧乏ながらも、身分の高さや品がにじみ出る美しい所作の娘に育つ。
セツは幼いときから不思議と異人さんと呼ばれる人たちを恐れず、見えているものが正しいとは限らない、物事の本質は「もっとよくみなくてはわからない」と思っている娘だった。
一方、ラフカディオ・ハーンはアメリカでジャーナリストとして成功、日本旅行記を書いて、それを片思いの女性に見せてやろうという下心で日本にやってくる。
最初は3週間程度?と思っていた彼は日本にやってきてその不思議さに圧倒される。
最初の予定はどこへやら、どんどん滞在を延ばし、お金がなくなったので英語教師として就職までしてしまい松江までやってくる。
そして、松江でセツに出会って、片思いの女性のよりもセツが好きになり、ついに日本に帰化する。3週間程度と思ってやってきた日本に死ぬまですみ続けたハーン。
出たとこ勝負すぎるでしょう。
ハーンの愛すべきところは、徹底的に日本に対してリスペクトを持ってくれたこと。
日本人よりも古事記などに詳しく、日本名の八雲もそこから取られているらしい。
セツもハーンもともに「お話」が大好きで、八雲に最初はセツをお話をよく知っている女中として雇ったのであった。
毎晩のようにセツに日本の怪談を話してもらう八雲。セツは八雲の専属怪談師だったのだ。微笑ましい。
当時、国際結婚なんてとてもとてもない時代。セツもハーンの現地妻、妾と思われ差別される。そのため、ハーンは自分が日本に帰化して正式に結婚をする。
障害が多かった二人の恋はすんなりと進まずやきもきさせられる。
最後、セツはとうとう先のことは考えずにハーンと今を生きようと決意するシーンは美しい。遠い遠い場所からやってきたハーンとセツは強い運命の糸で結びつけられていたのだろう。
今でも、二人の子孫が「八雲の子孫」として情報発信をされているようである。
なんだかとてもエモいのである。
小泉八雲とセツ。2人の奇跡の出会いが、異文化を乗り越え、『怪談』を生みだした。
ギリシア生まれのジャーナリスト、ラフカディオ・ハーンと上士の血を引くセツ。2人の宿縁の出会いと文学作品に結実するまでをドラマチックに描く。日本に憧れ東京に上陸したハーンは、英語教師として松江に赴任、誤解からヘルン先生と呼ばれるようになる。版籍奉還により生家は財産を失い、働く場も失ったセツは旅館に滞在中の異国人の女中として奉公する。はじめは会話にも不自由するが、ハーンの日本男性にはない優しさ、セツの武士の娘である毅然とした佇まいに互いに惹かれあうようになる。あるときセツの語る説話にハーンが高い関心を示した…。こうして奇跡的に出会った二人が愛を育み障害を乗り越え、『怪談』を世界に発表する。
次に読みたい本
こちらは、セツさんが書いた結婚生活の思い出。
やっぱりいいわ~