小泉八雲の「おかめの話」「お貞の話」「蝿のはなし」を読んだ。
どれも10分未満なのでなんとなく一気読み。
明日これを読むので予習。どうやら小泉八雲のお話らしい。
おかめの話は、タイトルのおかめがなんとなく愛嬌のあるおかめ納豆のパッケージみたいなイメージではあるが、あにはからんやぜんぜんそんな可愛らしさはなく、仲の良い夫婦の女房のほうが病で先に死んでしまう。死に際、私以外の人と結婚しないでくれと約束させるのだが、旦那の方は別に約束を破ったわけでもないのにだんだんやつれていく。
よなよなおかめが枕元に現れるのだ。生きている時と同じように何やら小さな声で話しかけてくる。
けっして、私のことを他人に言わないでくれと頼まれた旦那だが、親に泣かれてとうとうおかめが化けてでてくることを教えてしまう。
あわてて、供養(あるいは討伐)のためにおかめの墓を暴くのだがなんとそこにはまだいきているような微笑んだおかめが正座していた。
愛が強すぎて、一人では死にきれなかったと見える。
お坊さんに助けてもらった旦那が、その後本当に約束を守って再婚せずに一生を過ごしたかどうかは誰も知らない。
こちらも、純愛のお話だが随分とロマンチックだ。
長編マンガがかけそうなストーリー
まだ若い幼馴染の男女がおった。
だが、女の方は体が弱く自分の死を悟った時、男を呼んでこういった。
「私がもし女の体を持って生まれ変わったらきっと結婚してください。
随分待たせてしまうけど、まだあなたも15歳。きっとお会いできるでしょう」
十数年後、男は長男であったので、別の嫁をもらわずにはいられなかった。
ところが、家族の縁が薄いのか、父母をなくしたあとに妻子も亡くし男は一人になってしまった。
ある日、男はなくなった許婚と瓜二つの少女と出会う。
声も立ち居振る舞いも全く同じに見える。我慢できずに
「あなたの生まれとお名前を教えてください」
と声をかけるとその少女は
「私は死んだあなたの許嫁です。あなたは私が生まれ変わったら夫婦になると約束しました」と言うではないか。
二人はほんとうに結婚をしたが、女は次の日には全くそのことを覚えてはいなかったという。
記憶もないのに15も年上のおじさんとどうして結婚したのかしら、なんていうのは野暮だが、前世ってそんなに力を持っているのね。
こちらは、なんとも切ないお話である。
たまという若い娘が、父母の供養のため自分を着飾ることももせずに節約に節約を重ねている。
ようやくお金が溜まり、これからは娘らしくちょっとは気の利いた着物でも、と言っていた矢先に亡くなってしまう。
雇い主の夫婦は、そんなお玉を憐れんでいた。
しばらくして二人のもとに大きくて立派な蝿が現れた。
どうにもその蝿に何らかの意思を感じた二人は、お玉の生まれ変わりかもしれぬと蝿をお寺に持っていき丁寧に供養してもらう。
親孝行で苦労人のお玉なのに、蝿かぁ・・・もうちょっとさ、蝶とかさ、あるでしょうよ。と思うはなし。気の毒。
以上、小泉八雲の〇〇の話3連発。愛と執着は紙一重だという事がよく分かるラインナップであった。
次に読みたい本
“怪談”の礎を築いた八雲は、ギリシャで生まれ、世界各地に暮らし日本に流れ着く。旅多き人生と、奇妙な縁でつながった四代の歴史を、曾孫である著者が辿る。百年の時を繋ぐ、特別な家族エッセイ。
作者は、八雲の曾孫で今は民俗学者とのこと。面白そう!!!