坂口恭平の「生きのびるための事務」を読んだ。
若い頃に出会いたかった一冊。道草晴子の漫画もとても良い。
事務、ってことに苦手意識を持っている人は多い。苦手、というだけではなくて「ワイルドに破天荒に生きたい」「クリエイティブに自由に生きたい」人たちにとって事務仕事とは、やりたくない仕事の代表じゃないだろうか。
なんとなく、「お仕事は何を?」「いやあただの事務ですよ」なあんて、謙遜する言葉になるしなんとなく華やかではない、楽しくない誰でもできる仕事感がある。
だが、本を書いたり絵や音楽で生計をたてている坂口恭平が自分のやりたいことだけをできるようになったのは「ジム」の力が大事だったと述べる本。
この本では「ジム」というキャラクターが就職をせずに大学を卒業して無職にになった当時の坂口青年に、好きなことをして生き延びるために行う事務仕事について教える本。
ジムはこともなげに、「最後はうまくいくんだから」無職という不安を打ち消してくれる。
確かに、せっかく良い大学を首席で卒業したのに就職しないなんて、親は大反対をするだろう。「アーティストになるなんて、そんなのうまくいくわけがない」と。
(これを言わずに我慢できるおやがいたら、相当な胆力を供えた人だろう。普通言っちゃうよねー)
でも、ジムはあっさりと言い切る。
「自転車に乗ったことがない人に自転車の乗り方を聞くか?」「自転車に乗ったことがない人が絶対失敗すると言っているのを気にする必要はある?」
確かに、そりゃそうだ。
芸術家になんてなれるわけない、という芸術家はいないわけだ。深いぜ!
他にも読んだら勇気が湧くこばがムクムク湧いてくるよ。
特に、クリエイティブな人と違う道を目指そうと思っている若い人には刺さるとおもう。
残念ながら私は、その世代の子を支える親世代として自転車も乗ったことないのに絶対失敗する!なんて呪いの言葉を吐かないよう、気をつけたいと思う。
そして、若くはない私でも使えそうなことはすごくたくさんあって、例えば理想の自分の生活を円グラフにして(あの、夏休みの計画でたてさせられるやつ)
たとえば、午後10時から午前5時まで睡眠、ちょっと早起きして読書する、計画をたててみて、まずはそれをするだけ。なんですって。
生活するために必要なお金を稼ぐために何時間働くとか、決めておく。
これ、私明日からやれる気がする。残業しない日を作ろう。どうせ18時まで帰れないから、始業を遅くしちゃおう。
いいこと言うなぁジム・・・どうせ最後はうまくいくんだから。
ホントよ。早く仕事始めたってどうせ18時過ぎまでは終わらないんだからw。
ちなみに、この本はほぼ漫画、というか漫画そのものなのでとても読みやすい。
道草晴子の絵もとても可愛くて好ましい。
芸術家でも誰でも、事務作業を疎かにしては
何も成し遂げられない。
夢を現実にするたった一つの技術、
それが《事務》です。この作品は作家、建築家、画家、音楽家、
「いのっちの電話」相談員として活動する
坂口恭平が若い頃に出会った優秀な事務員・
ジムとの対話で学び、人生で実践した方法を
記したテキストを原作にコミカライズして、
《事務》ってめちゃくちゃ大事!
ってことが漫画でわかる本です。夢を叶えて自由に生きるには?
最終回答はなんと《事務》でした
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●目次●
はじめに ジムとの出会い
第1講 事務は『量』を整える
第2講 現実をノートに描く
第3講 未来の現実をノートに描く
第4講 事務の世界には失敗がありません
第5講 毎日楽しく続けられる事務的『やり方』を見つける
第6講 事務は『やり方』を考えて実践するためにある
第7講 事務とは好きとは何か?を考える装置でもある
第8講 事務を継続するための技術
第9講 事務とは自分の行動を言葉や数字に置き換えること
第10講 やりたいことを即決で実行するために事務がある
第11講 どうせ最後は上手くいく
あとがき