iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「偽ガルシア・マルケス」百年の孤独を楽しむ前に

古川日出男の「偽ガルシア・マルケス」を読んだ。

なんとも印象的な短編であった。あいも変わらずAudibleで聞く読書だったのだが朗読の女性の読み方がなんとも言えず神秘的でこの作品のミステリアスな感じとマッチしていていた。

 

そもそもミステリーみたいにオチがある本を好む傾向にある私なので、純文学(多分しらんけど)はあまり読みつけていない。

 

楽しみ方がわからない場合が多いのだ。

 

ただ、この作品はなんだが不思議な女性がでてきて、たんたんとガルシア・マルケスという作家(と多分古川日出男)について語る。

印象的なキーワードはたくさん出てくるのだが、繰り返しの多い幻想的なつぶやきに惑わされて読み終わった後にはに何も残らない。

 

何も残らないというと語弊があるな。なんとなく形ではなく染み込んだ形跡、シミが残っている。作中で読書のシミという言葉が何度も出てくるのだが、何となく分かる。

 

読み終わった後にあらすじが語れるような本ではないのだ。

いくつかの面白いキーワードが頭の中に残っているのだけど、それをすくい上げようとするととたんに「私」の言葉担ってしまい作中の「偽ガルシア・マルケス」の言葉でなくなってしまうのだ。もどかしさったらない。

 

でも、果敢に思い出せる面白いキーワードを上げてみる。

 

--人は死んだら海に行けばいいのです。生きているときは陸にいればいいのです。そしてカニのように陸と海を行ったり来たりすればいいのです。

 

--天使には翼があります。鳥類の特徴を備えているのだから、天使は鳥類です。そんなことはよく考えればすぐわかることです。

 

--質問に答えることは簡単です。難しいのは良い問をすることです。

 

--スペインではNOのことを短く ノ、と言います。

 

もちろん原文に全然忠実ではないが、こんな感じのことをボソボソと耳の横で囁かれるような感じ。程よい酩酊感をえられます。

 

で、結局「偽ガルシア・マルケス」とは誰なのかはよくわからないが、この本は先日再販されてリバイバルブームが来ちゃっている「百年の孤独」の著者ガルシア・マルケスへのオマージュ本なのだ。

 

 

鬼才・古川日出男が、多大な影響を受けたノーベル賞作家、ガブリエル・ガルシア=マルケス(1928-2014)に捧げたオマージュといっていい極上の短篇作品。
〈あなたは、私が誰なのかを当てられますか?〉〝ガブリエラ・ガルシア=マルケス〟を名乗り、かのガブリエルとの関係も示唆する女が、読者を挑発するように問いかけて、作品は幕を開ける。古川当人と思しき日本人作家を自在に操り、ガルシア=マルケスの短篇を奔放に読み解いて「読書の染み」を集め、物語を編むという謎めいた美女(多分)とはいったい「誰」なのか? 物語の生まれる現場としての「家」に着目しつつ、ガブリエル・ガルシア=マルケスをまるごと呑み込まんとするかのような、情熱と愛に満ちた奇譚。こんな短篇見たことない!

 

本屋の平積みを横目に、「絶対読む切れる自信がない」と思っていたが、この本を読んで俄然興味が出てきた。

結局どういう話なのかは全く検討もついていないけど。

 
 
 
 
すごくどうでもいいけど、百年の孤独という名前のお酒がある。
そして、千年の眠りというお酒とペアで売られていた。
どっちにしろスケールのでかい話出ある。