私の好きな漫画家の一人「施川ユウキ」のエッセイマンガ「え!? 絵が下手なのに漫画家に? 」を読んだ。
単行本未収録のデビュー原稿「がんばれ酢めし疑獄!!」や過去の同人誌発表作品、幻の読み切り「闇色ドロップス」、カラスヤサトシ氏とのコイバナ限定対談、大量の描き下ろしコラムなど、施川たんファン垂涎の漫画家10周年記念初エッセイマンガ集!!
この人のマンガは、失礼ながら確かに絵が・・・と思っていた。
ただ、読んでいると伝えたいことが素晴らしすぎて、そんなことは全く気にならなくなってくる。絵が伝えるための道具であることがよくわかる一瞬だ。
(とはいえ、いい感じにかわいいのでご自分で決めつけるほど下手とか、そんなことはない。はず)
例えば悪筆の文豪の文章にも感動するように、下手な(だって本人が言うんだもの)絵で描かれた壮大な世界観のSFはおすすめ。
銀河の死なない子供たちへとか、手塚治虫か!って思うから。
あと、私の人生のベスト10マンガに入れる予定のオンノジのとかね。
(ベスト10を微妙に更新しながら歳を取っていくってホント幸せ)
話それたけど、今回の「え!絵が下手なのに~」は、漫画家になるまでの施川たんのキラキラしていない青春グラフティというか、モノづくりをする者の屈折しまくった自意識とか、煮詰まった感が描かれていてもしかしたら若い読者には身につまされて辛いかもと思う。随所に笑いを振りまぶしているので大丈夫かな。
それにしても、専門学校時代に住んでいたアパートの「深夜の奇声事件」とか「となりのじいさん孤独死事件」とか、さらりと描くな!と思うようなエピソードが多すぎて、気になる。その面白ネタは掘り下げんのかい!
まだ何者でもない、地方から出てきた若者が漫画家になるまでのストーリー、なのだが、漫画家になりたくて夢をかなえました!というサクセスストーリーじゃないのだ。「漫画家は三番目」の目標で「一番なれそうもない」でも「一番なりたい」と思っていたとか、とにかく何か始めなくちゃと思ってボランティアサークルに入ってみたりとか、彼女と別れて専門学校に行かなくなっちゃたりとか、とにかくリアルだなあとおもって。
先ほど若い読者には身につまされて辛いかもと書いたけど逆かも。
夢を見つけてそれに向かって一直線に全力で向かっている人しか成功できないわけじゃないのだ。
他にも、絵が下手エピソードもおもしろかったな。
窓って何本線を書けばいいんだっけ?と同業者に電話する話とか、自転車に乗るエピソードは自転車なんて難しいもの描けませんよと断る話など。すごいのよ。
悪筆の文豪の名文といったけど、それ以上なのでは?
使えないツールまであるのか!文豪はかけない漢字があってもひらがなっていう手があるけど、漫画家は自転車がかけなきゃ自転車の話を描けないのだ。
それでもプロとしてやっているところがすごいっのだ。
何だろ片言の日本語で直木賞を受賞、みたいな感じか。
いま、kindleでは施川たんのコミックが50%ポイント還元されているのでまずは「オンノジ」読んでみてほしい!!!
ディストピアものなんだよ。SFなんだよ。でもほっこりとしかしていないの。
泣きたくなるような孤独と最後の希望。
デビュー作の酢飯~とか(このマンガのタイトルをつける時の気持ちも今回明かされている)鬱ご飯なんかもポイント還元中!何セール? あ、2020年8月25日現在の話ですよ!