iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「こわい本」来年の年賀状にいかがだろうか

楳図かずおの「こわい本 蛇」を読んだ。

角川ホラー文庫として、集大成ともいえる全10巻が発行されたのはつい最近な気がしていたが2021年とのこと。

本屋でも山積みされていたので気になっていた人も多いハズ。

私も先日の訃報を聞いて再読した。

 

人間が蛇になってしまうドラマを執拗に3本も収録してある。

それぞれ描かれた年代が違うのか、画力が(もともとお上手ではあるのだが)どんどん向上しているのがわかる。いやーこの人の美少女はもはや凄みがあるよね。

収録作は3本

「うろこの顔」

漫画家楳図かずおの妹「魔子ちゃんの恐怖レポート」

主人公陽子が、まるで蛇のようになり変死を遂げた姉のことを気に病み、徐々に精神的に追い詰められていく。

「お姉様に噛まれたところが・・・蛇の鱗のように!!!」

「いやっ蛇になりたくないっ!」

と苦しむ陽子。

結局、まさかの「ばあや」が家族全員を呪っていたのだが、意外と可愛らしい顔をしていたのでそこも観てほしい。

そして、割と中途半端な魔子ちゃんの存在にも注目だ。(でもかわいい)

とにかく美しい顔が蛇のようになってしまうシーンが手を変え品を変え挟まれて、陽子だけじゃなくてこっちまで気に病みそうになる。

 

蛇娘と白髪魔
こちらも、美しい娘が姉により蛇にされそうになる話。

ストーリーは「うろこの顔」にとても良く似ているのだが、絵が洗練されていない分迫力がある。

それにしても白髪魔ってなんか以前読んだきがしてしょうがないのだが・・・

 

「口が耳までさける時」

ちょっとフランス映画っぽいおしゃれなタイトルだが、やはり蛇娘とよく似た話で、今度は引き取られた先の奥様がヘビだった・・・という話。

そして、ここでもばあやがキーパーソンである。

こちらは、随分描かれた時代が古いみたい。(1961年初出だって)60年以上まえか。

きれいなマダムの口が耳までさける時の恐ろしさ。ただ、最初の登場シーン移行、ほぼマダムはヘビにしか見えない。

 

三話続けてヘビの話を読むと、来年はヘビ年なのにヘビが生理的に無理になってくるわ。あ、来年の年賀状に蛇娘いいかも知んない。

 

漫画だけではなくタレントとしても活躍された楳図かずお先生。

わたしが幼稚園の頃ちょうどまことちゃんブームで「PTAによる不買運動」みたいなのがあったような、なかったような?(下品ざーますっ)

 

とにかく、「楳図かずおの本を親の前で読むのはヤバい」という刷り込みが私の中にはあって、「漂流教室」を年上のいとこの本棚で見つけたときは衝撃だった。

 

漫画に「のめり込む」という体験はあれがはじめてだったかも。

 

後に、このいとこの本棚で私は様々な漫画を勝手に読み勝手に成長するのだが、それはまた別の話。

 

幻の本格ホラーシリーズ『こわい本』。新装版で全10巻刊行スタート!

幸せに暮らしていた沼田家の姉妹を、突然の悲劇が襲った。姉が、手足が動かなくなる原因不明の病に倒れたのだ。献身的に看病する妹だったが、姉の奇怪な行動に不審を抱き、姉の正体は蛇で、自分を殺そうとしているのではと怯えはじめる――違和感がぬるりと忍び寄る「うろこの顔」ほか、映画化された「蛇娘と白髪魔」や「口が耳までさける時」の、蛇の恐怖譚3篇を収録。語り下ろし著者インタビューなど豪華巻末企画も必読!

 

あ、これだ。倉に閉じ込められた男が一晩で白髪になってしまうというあれ。

 

江戸川乱歩妖美劇画館  3巻 (『白髪鬼』『闇の顔』) (SGコミックス)

「ひどい苦労により一晩で髪の毛が真っ白になる」ことを我々世代は結構真に受けてるんだぜ。

なぜなら、「ベルサイユのばら」でマリーアントワネット様が塔に幽閉された時、一晩で髪の毛が真っ白になったからね。

最近苦労しているからか、単なる老化現象か白髪は増えた気がするが、流石に一晩で真っ白にはならない。むしろ真っ白になったら、紫とか緑とか奇抜な色にできて楽しかろうと思うがな。

 

 

漂流教室〔文庫版〕(1) (少年サンデーコミックス)

大人になってもやっぱり怖かった。