高校生のときアホホド読んでいた筒井康隆の「筒井漫画読本」を読んだ。
あー、このコマ、筒井康隆の不条理さをよく表していると思いません?
高校生の時、めちゃくちゃ読んでいたのに最近はとんとご無沙汰していて、久々にこのシュールさを思い出してニヤついた。
というか、高校生の時によく読んでいたなーこんな不条理だらけの本。
正直今だったらそんなに楽しめるか、続けざまこれを読めるか疑問だ。
分からないことを楽しめるのも体力というか気力のようなものがいるのだろう。
内容紹介
日本文学界が生んだ鬼才・筒井康隆の作品群を、
17名の漫画家がそれぞれの感性でコミカライズした驚異のアンソロジー、ついに文庫化!
日本SF黎明期を支え、今や正真正銘、日本文学界の大スターとなった筒井康隆。
その傑作・怪作の数々が、執筆陣の独自解釈による、衝撃のコミック作品として、再降臨!
SF、スラップスティック、不条理……広大無辺・予測不能のツツイワールドが、今ここに!!
【収録作品】
相原コージ「死にかた」
吾妻ひでお「池猫」
いしいひさいち「大富豪刑事」
内田春菊「ムロジェクに感謝」
蛭子能収「傷ついたのは誰の心」
加藤礼次朗「TROUBLE」
喜国雅彦「鏡と薬と正義と女」
けらえいこ「妻四態」
三条友美「亭主調理法」
清水ミチコ「傾斜」
しりあがり寿「樹木 法廷に立つ」
とり・みき「我が良き狼」
ふくやまけいこ「かいじゅうゴミイ」
まつざきあけみ「イチゴの日」
南伸坊「禁花」
矢萩貴子「セクション」
山浦章「星は生きている」
さらに巻末には、原作者である筒井自身が執筆した短編漫画「アフリカの血」も特別収録!!
あんなに読んだ記憶はあるのに、なんとなく筋を覚えていたのは「死に方」と「イチゴの日」のみ。
最初にのっけた鬼の一コマは「死に方」の最後なんだけど、ある日会社に突然オニがやってきた。から始まり、何の理由も原因もわからず一人一人殺されていく。
鬼とのコミュニケーションができるとわかったとたんに条件を持ち出すところとか、マジで人間ってホントこんな感じだよねと思う。
泣いても、逃げても、あきらめても、見て見ぬふりをしても、とにかく一人一人の死に方を確認しながら殺していく。
結局最初から最後まで何のためにやってきて救いが現れるわけでもなく、最後の一コマ「でもやっぱり殺すのだ」と終わる。
オニは何かの災厄を表しているのだろうな。
いやいや、なかなかのトラウマ本・・・救いもオチもない。これは泣く。
もう一つ覚えていたのは「イチゴの日」
世間ぐるみでものすごく不細工な娘を小さいころから「美しい」と言い聞かせ育て、皆、陰でニヤニヤしながらアイドルとしてちやほやする。
ホント人間てどこまで残酷なことができるんだという、吐き気を催すような話なんだけど、最後の終わり方が・・・そう来たかってやつですよ。
このね、まつざきあけみの美麗な絵がね、こうなってこうね。もうこれは読んでもらった方が早いってやつですよ。
ほんと、タイトルのイチゴが生きてくるわけですわ。
最後は、筒井康隆自身が描いた「アフリカの血」
ホント多才だな~面白かった。まさしくマンガ描いても鬼才!
確か昔本人100%描いたマンガ本を持っていた気がする。これだったか?
いまでは文学界のご意見番、重鎮的な感じだけど、やっぱり昔はめちゃくちゃトガッてますわ。
たまにはマンガでトガっていたころの筒井康隆(80年代)を思い出したい方におススメ!
(若い子にもおススメ!こういうの読んで大人になってくれ!)