iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「闇をわたる:警視庁特別対策捜査官」

堂場瞬一のAudibleオリジナル作品「闇をわたる:警視庁特別対策捜査官」を読んだ。

朗読は谷山紀章だ。(私知らなかったのだが、大人気の声優さんらしい。文豪ストレイドッグス中原中也役をしている人とのこと)

 

確かに良い声だったが、Audibleの読み上げの人たちはみんなそこそこ良い声なので、めちゃくちゃイケボだなーとは思わなかった。むしろ小説の内容に合わせて落ち着きいたトーンだった。

 

ストーリは、「いわゆる特別対応が必要なセレブ向け刑事(ただし一人部署)」の二階堂がセレブたちが巻き込まれた犯罪を捜査するというものだ。

 

ハードボイルドとエンタメ感が程よくて、まさしく「肩のこらない一品」

 

セレブデカと揶揄される二階堂は、たしかに父親が大企業の会長で御曹司だったのが一転、父親の遺書では一切の権利も与えられず、財産も50歳になるまで信託されていたため、実際はセレブのやり方を十分知っている非セレブである。

 

非セレブっていう言い方もおかしいけれど、筒井康隆の「富豪刑事」みたいにお金を湯水のように使って捜査するのではなく、一警察人として捜査を行う(ただし時々、コネで関係者を紹介してもらったりはする)

 

セレブ刑事というと、こち亀の中川巡査みたいなお坊ちゃま世間知らず系の刑事?かと思うが、彼は十分世間並みの苦労を背負い込んでいるのである。

 

今は一人部署だが、相棒としてお気に入りの総務課の女性職員をリクルートしようと必死なのがちょっとおかしい。

そのくせ、その後現れた「視力は低いけど探しものは得意」の女性警官もいちおうリクルートしている。どちらにもあっさり断られているところが面白い。

 

シリーズ物のようで、まだまだ「父がなぜ自分を企業から排斥したのか?」とか「父の死後急によそよそしくなった母」の謎が解き明かされないまま終わってしまった。

次の作品に期待である。

 

堂場瞬一の新たなシリーズは“セレブ刑事”!
「警視庁特別対策捜査官」シリーズ始動

いわゆるセレブたちが犯罪被害に遭ったとき、窓口となって各警察署との架け橋になる「警視庁特別対策捜査官」二階堂悠真。
二階堂自身も誰もが知っている企業グループの御曹司だったが、大学一年で父が急死し、叔父に勧められるままに警察官になった変わり種だ。
六本木警察署刑事総務課のひとり部署、専用覆面パトカーはポルシェ・カイエン、父が残した六本木のマンションから出勤することから、ほかの刑事からは“セレブ刑事”と揶揄されている。

そんな二階堂に持ち込まれたのは、一軒のラーメン店から始めて一大企業グループを作り上げた梅島の、稀覯本と時計のコレクションの盗難事件。その捜査途中で、総務省審議官の長男が強盗容疑で逮捕されたとの知らせが。

成り上がりの辣腕経営者と、“上級国民”といわれる官僚の息子の不祥事。関係のないはずのふたつの事件を追っていく二階堂は、さらなる事件に巻き込まれ――。

 

 

次に読みたい本

 

富豪刑事(新潮文庫)

読んだのが大昔過ぎて、キャデラックに乗ってハバナの葉巻をくゆらせながら、破天荒に事件を解決したことしか覚えていないけど、よくよく考えたら読んだ端からすぐ忘れる私が、30年以上前に読んだことを覚えていたのは奇跡的。多分相当面白かったんだと思う。