芥川竜之介の「河童」を読んだ。
先日の芥川竜之介の命日「河童忌」に書いた自分のブログを読み返しながら、「このながれで、なんで河童じゃない?」と自分で突っ込みたくなったたのだ。
「河童」は,ある精神病患者の談話を筆録したという形で書かれたユートピア小説.ここに描かれた奇妙な河童の国は,戯画化された昭和初期の日本社会であり,また,生活に,創作に行きづまっていた作者の不安と苦悩が色濃く影を落している.脱稿後半年を経ずして,芥川は自ら命を断った.
河童は風刺が聞いたファンタジーかつ割とノー天気な話かと思っていたが、読み終わって調べたらどうやら「自殺直前の」作品で作者の不安と苦悩が色濃く影を落としている・・・と書いてあった。
えへ。影は全然わかりませんでしたなー
物語は山で遭難して気がつけば河童の国に言ってしまった彼が人間と河童の世界の違いを紹介してくれるいわば、転生したら河童の国でした物語だ。
河童の世界での「人間」は働かなくても食べていけるほどには珍重されている。
彼は、河童の言葉を覚え、どんどん河童の国で仲良くなっていく。学生や弁護士や詩人の河童と仲良くなる。
そのうち仲の良かった詩人が目の前でピストル自殺をしてしまい、彼は大きなショックを受ける。
亡くなった友の奥さんを慰めるとき、河童の肌のぬるっとしていて苦手だなと思う。
しかし、人間の世界に戻ってきたときにはもう、人間のほうが臭くて我慢ならぬ様になっている。
他にも、河童の世界の人員整理とか河童の法律、河童の宗教など何もかも人間とは違っているのだが、河童の国ではむしろ人間の彼のほうが面白がられてしまうのだ。
ちなみに河童界の失業者は町にあぶれたりせず「食用」に回されてしまうらしくって、いつでも治安は整然と保たれているらしい。
ひやひや、河童じゃなくてよかったなぁ。
男女の恋愛も河童の人間では大違い。完全に女性の河童が男性の河童を狩るスタイル。
極め付きは、老人として生まれてきて段々と若返る河童に帰り道を教えてもらって人間界に返ってくるのだが老人として生まれてだんだんと若くなるって、寿命が目に見えるから嫌だろうなぁ。
ちなみに彼は、人間界に帰ってきて河童の思い出ばかり話していたからか、精神病院に入れられてしまう。
あ、あやっぱり暗い影だらけかも。
次に読みたい本
河童のおさらの部分って猫の肉球みたいだったら超触りたいよね。
芥川さんの河童の国の中では、若い河童の皿は柔らかいが、歳とともに段々と固くなるらしい。ちぇっ。