iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

映画館に行けないご時世なので「犬鳴村」を読んだ

とは言えすでに上映期間は過ぎてらかもしれないが。

ちょっと前に周りの人たちが見に行きたいと言ってた映画「犬鳴村」の小説版を読んだ。

 

犬鳴村〈小説版〉 (竹書房文庫)

犬鳴村〈小説版〉 (竹書房文庫)

 

 

映画、結局予告編しか観れていないのだが、みんな絶対怖いよね!心臓に悪い系よね!ともちきり。

犬鳴村 予告 60秒 - YouTube

と、大の大人がわきわきしてしまうのも何故かと言えば、思いっきり地元だからである。

 

流石にわざわざ旧トンネルの方へ行った事はないが、新トンネルの方は何度も利用しているし、何より石を投げれば犬鳴に関して何か引き出しがある人に当たるくらいの土地柄だ。

若いころ肝試しに行っただの、いとこの友達が何か観ただの話題に事欠かない、まさしく大人気の心霊スポット。

 

しかし、こちらでは犬鳴村ではなくて犬鳴峠の方が通りが良い。

 

峠の旧トンネルには出る。

これはある程度の頑固な心霊否定論者以外は普通に受け入れられている。と思う。

 

Wikipediaにも載っているくらいなのだ。流石に出るとは書いてないが。

 

 

で。こちらの話の感想だが、ひとことで言うなら

 

映像の方が絶対怖い!

 

映像ありきで作ったシナリオなのでどうしても文章としての怖さではないのだ。

ストーリーとしてはどこまでも残酷でスプラッターな部分がありちょっと人を選ぶかなと。

 

ただ製作者の後書きで、横溝正史的な土着や村の因習的の世界を作りたかったそうで、そこは素晴らしい。

それにしても横溝先生の血みどろ具合は、今の時代から見ると品があっていいよね!

 

ホラーもエロももっともっと、これでもかこれでもかとどんどん過剰になっているような気がする。

 

また話はそれるのだが今日帰りに寄った我が地元図書館では

映画犬鳴村のブームにあやかってかホラー特集コーナーがあった。

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図書館員さんのおすすめホラーには、スティーブンキングや京極夏彦が並んでいた。

黒い家と残穢は読んだ。

特に黒い家はいやーな話だったなぁ。おすすめだけど心が弱るかも。

 

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 1998/12/10
  • メディア: 文庫
 

どちらも映画化されていますよね。

 

なるべく家にいることを推奨される今日この頃。

今回読んだ「犬鳴村」はkindle unlimitedで無料で読めるので、映画に行く代わりにぜひ読んでみて。

「幻の女」あの名作と同じタイトルだ!

横溝正史の「幻の女」を読んだ。

 

相変わらず素晴らしい表紙絵。めちゃくちゃ唇かんでて、超悔しそう・・・

血しぶきもすごい!

 

幻の女 「由利先生」シリーズ (角川文庫)

幻の女 「由利先生」シリーズ (角川文庫)

 

 

「人殺し!」叫び声を聞いた俊助は部屋に飛びこみ、浴室のカーテンをまくり上げた。瞬間、彼はその場に立ちすくんだ。浴槽には胸を抉られ、鮮血を滴らせる女が浮かんでいたのだ! 全米を震撼させた殺人鬼「幻の女」が日本へ上陸との知らせを受けた敏腕記者三津木俊助は、早速真相究明に乗り出した。だがその直後、彼女の仕業と思われる殺人事件に巻きこまれてしまった……。由利先生と三津木俊助の名コンビが凶悪な女殺人鬼と対決。探偵小説の醍醐味を満喫させる傑作、ほか二篇収録。

 

妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった! 迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか? 最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。 

 

本家(ウイリアムアイリッシュ)とずいぶん違う、というか、同じだったらさすがによろしくないのだが、同じような話が実は別のタイトルで書かれている。

ichieda.hatenablog.com

こちらの話は、だいぶん本家に近い。

 

しかし、やっぱり本家は未読・・・ てへ。
いま、kindle春のハヤカワ電子書籍祭(4/13まで)をやっているので、買うべきか?

・・・と巡回していてついこちらを購入してしまった。だってこっちのほうが読みたかったんだもん!そのうち感想を書きます。

 

三体

三体

  • 作者:劉 慈欣
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: ハードカバー
 

  

 

 さて、横溝正史の「幻の女」に時を戻そう。

 

以下3篇からなる短編集

幻の女

幻の女というからには儚げが美女かと思いきや、アメリカから帰ってきた

「人を殺すことを大根を切ることと同じくらいにしか思わぬファントムウーマン」だそうで・・・これだけ聞くとゴリエちゃんみたいなの想像しますけども、実際には妙齢の美女から、品の悪いお嬢様、品のいいシンデレラガールなどいろんな女が出てきます。

 

推理小説というよりは、ノリと勢いの冒険活劇という感じで楽しめた。

の方のレビューで見たのだが、由利先生が地味!うむ、確かに。

なんでも、由利先生は金田一耕助の出現により、書かなくなったというよりとってかわられたらしい。

確かにどちらかというと、敏腕新聞記者・三津木俊介のほうが目立っている。

カルメンの死

おお、まったくもって記憶にないので読み返した。
蝶々殺人事件と登場人物が被る?オペラ界の男女のもつれから始まる殺人事件。

 

ビジュアル的には、箱詰めの花嫁衣装の死体とか派手で素晴らしい!

 

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この話、なんかデジャブと思ったらコミカライズされたものを持っていた。ザ、昭和の劇画って感じですな。

こちらは由利先生、いいとこ見せてます。

そして!等々力警部も出てきます。

 

 

 

猿と死美人

またでたな、死美人!しかも今回は死んでない!瀕死の美人でした。

猿は○○のために用意されていた。

奸計にかけた、とはこういうやつをいうのでしょう。

こちらは三津木くん大活躍!

それにしても、敏腕花形新聞記者の彼が、特ダネを拾うのはわりと身近な人物のおかげが多いなー

 

この間は妹、次は恋人、今回は親友。

 

まさしく、三津木の周りに事件あり。江戸川コナンかーい!とツッコミたくなった。

 

春ともコロナとも全く関係なく、ひたすら自分の読みたいものだけ読んでいるこの頃。

 

ちなみに本日は、東京都の小池知事が不要不急の外出を避けるよう発表した日。

後で思い返して、あれ、ちょっと大げさだったよねと言えるといいなと思いつつ。

 

 

 

ドクロって書ける?「花髑髏」

横溝正史の「花髑髏」を読んだ。

よ、読めるけど冷静に考えたらめちゃくちゃ難しい漢字だな「髑髏」

 

難しい、というよりやたらデコラティブというか過剰よね。 ホネヘンが二つって言うのもすごい。

この漢字を書く事って一生一度あるかなぁ、と思ったので書いてみてた。

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いえ、決して暇なわけでは・・・

横溝先生が花髑髏を書いた時にはもちろん原稿も手書きだったわけで、こんな画数の多い漢字を何回も登場させるなんて頭が下がる。

 

そして、表紙が飾りたくなるほどオシャレじゃない?

こんなの、ゴスロリっ子のお部屋のインテリアに良さそうじゃない?偏見?

 

花髑髏 「由利先生」シリーズ (角川文庫)

花髑髏 「由利先生」シリーズ (角川文庫)

 

名探偵由利先生のもとに突然舞い込んだ差し出し人不明の手紙、それは恐ろしい殺人事件の予告だった。相棒の事件記者三津木俊助を伴い、指定の場所へ急行した彼は愕然とした。そこには、箱の裂目から鮮血を滴らせた黒塗りの大きな長持が……。20年前、凶暴な精神病患者の謎の死に立ち合った医師の一族に、いま、怪人〈花髑髏〉の魔の手が迫る! 表題作ほか、「白蝋変化」「焙烙の刑」を収めた横溝正史の短篇傑作選。 

花髑髏

過剰にデコラティブナノはタイトルだけじゃなかった。

とにかくこの時代だからしょうがないとは言え、犯罪者の血というものがいかにもあるかのように語られている。

うーん、私は殺人した人の子供が殺人を犯すなどという遺伝は信じられないのだが、

当たり前のように語られることが多いのでよろしくないですな。

今でも、そういうスタンツの人もいそうだし。DNAにそんな情報載るわけないじゃん。

 

あら、話が逸れた。

 

とにかく、犯人は殺された日下博士が若い頃安楽死させた殺人鬼の子供ではないのか?

という疑いから、捜査をするのだがどうもしっくりこない。

該当者っぽいのやら怪しいのやらがたくさんいすぎるのだ。

 

最後は思いもよらぬ(とはいえめちゃくちゃ怪しかったのだが)人物が犯人とわかるんだけど、

その犯行方法がやっぱり奇抜で過剰。

おまじないと称して胸に髑髏のカードを抱かせて毒薬を飲ませるのだ。

おかげで被害者は幸せそうな顔をして亡くなる。ひどいなぁ。

 

白蝋変化

この話も最後がちょっとせつない。実は花髑髏もせつなかった。

白蠟三郎という稀代の色魔が出てくるのだが、タイトル通りめちゃくちゃ嫌なやつだったのに最後はなんか良い事ばっかりしちゃってる。

変化しちゃうのである。

 

真剣に読んでいなかったからかもしれないが、最初と最後では少々つじつまがあわないような・・・

ま、いいか。とにかく浪花節調というか講談のようで、ちょうど盛り上がってきましたがお時間となりました、バンバン的な終わり方が多かった。

男装美人あり、サドあり、異常な横恋慕ありでとりあえず勢いで読めてしまう中編。

私には少々長く感じたがなー

 

焙烙の刑

 

映画スターが出てくる話である。

焼きもち焼きも出てくる話である。

胸に髑髏のペンダントをこれ見よがしにつけている美女も出てきたりするのである。

 

由利先生ときたら、最後危ないところをギリギリ助けてあげて、いいところ持っていくのだが全く持って存在感が示せていない。

残念!

 

脱線

はあ、書くの時間がかかっちゃったわー

今回初めてのキーボードを使ってiPadで書いてみているのだが、ものすごく書くのに時間がかかっております。

 

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茶店でのブログを更新とかめちゃくちゃ憧れていたのだが、まーまー色々おぼつかず・・・

 

まず、日本語と英語の切り替えがわからず、検索するところから始める始末。

 

その後は「喫茶店のFREEWIFIにつなげる」のに何度もパスワードを打ち間違え、

はてなブログにログインする」のに、なぜか新しいブログを新規開設寸前まで行ってしまい(つまり、もう一つアカウント取ってしまった)

そして、記事を書くのに、点丸そして3点リーダーを出すにはどうしたらいいか悩み・・・

しかし、一番時間がかかったのはミスタイプ。

 

エンターキーの代わりに必ず押してしまうキーがあり\\\これだ。

く、挫けそうだよ!

 



カッコつけようと思って買ったキーボードはこれ。

いや、製品的にはとてもよい。

私というソフトウェアが適合していないだけよ。

 

少々重いのを別にすれば、キーボードも大きめでしっかり押せる感が良いし、スッキリした見た目も好ましい。

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重いけどとりあえず頑丈そう。

ピンクな見た目にだまされるけど、割とハードよ。

 

Audibleはやっぱりすごい「予言の島」聞いた

澤村伊智の「予言の島」を読んだ。というか、今回Audible版で聞いた。

 

予言の島

予言の島

  • 作者:澤村伊智
  • 発売日: 2019/03/15
  • メディア: 単行本
 

 

 だってね、今2か月無料なんですよ!

以前3か月くらいオーディブルに加入していたのだが、辞めた理由はやはり

「ちょっと高いよね。あと、私が読みたい横溝正史ないよね」

っていうのが大きかった。

 

でも、これで三国志読破した。読んでくれなきゃ絶対に挫折していたと思う。

関羽かっこいい。いっそ関羽を主役にすればいいのに。)

 

さて、雑音が入ったが今回もう一回トライしてみたのは、そろそろ私もリストから消えた、というか無料でお試しできるかも?という勘が働いたからである。

うまくいけば2か月無料だし!(無事行けた模様)

 

で、今回うまい事また無料キャンペーンで厚かましくも読みつくしてやるぜ!

と息巻いていたのだが、ん?なんか仕組みが変わってる・・・

コインとはなんだ?というか、値段も上がっている。

 

以前は、月会費を払えば聞き放題だったが、現在では毎月1コインもらえるので、そのコインを使って本を選らぶ、プラス会員特典の音源がある、ということらしい。

 

まあ、ビジネス書とか単行本は1500円余裕で超えるので、月一冊分をこちらに回すって考えたらそんなに悪くないだろう。

 

ちなみにラインナップはファクトフルネスとか、ホモサピエンス全史とか

読めるかなー読めないだろうな~っていうような重厚な本も軒をつらなている。

 

 

 

 

 

確かに、以前に比べて読みたい本が確実に多い気がする。

 

悪くない!でも高い!いや、ありかもしれん!むしろあり!迷う!

 

くらいのレベル感。

全てのサブスクリプションサービスってほんと、こんな感じの価格設定よね!

 

 

 そう、まさしくこんな感じ(笑)

むしろあり!かも。

 

なにより、kindle読み上げ機能の機械ボイスは慣れてきたとはいえ、やはり読み間違えと発音の揺れが大きすぎて、登場人物の「月代」が(つきよ)と呼ばれたり(さかやき)と呼ばれたりして何言ってるかわからず集中が切れる。

 

ちなみに「さかやき」とは、ちょんまげスタイルの禿げた部分だ。

つきよがよよと泣き崩れるのはありだけど、ちょんまげの禿げたとこが泣き崩れてるとかもう全く、ぶち壊しなのである。

 

今回、やっぱりプロが読み上げてくれるのはわかりやすくていいなぁと思った。

しかも、予言の島はネタバレ厳禁のホラーでありミステリーなのだ。

耳元で囁くように死に際の言葉をささやかれたり、慟哭を聞かされたり。

これはね、やっぱりプロゆえのマジの怖さがありました。

ホラーは読み聞かせに向いているのかもしれない。

 

そもそもこの話ね、私ですら「ん?」っていう違和感、伏線がたっぷり張り巡らされていたの。

 

最後にぐわーーそう来たか!!て叫ぶ。

 

なんかね、記述者が誰何だ?ってずっと引っかかってるんだけど、気づかないものね。

いやー面白かった。

 

何より、瀬戸内海の小島、土着の因習・・・っていう

横溝正史京極夏彦三津田信三・・・」ていう連想ゲームを逆手に取った、痛烈な一撃を食らってしまう。

 

島のおばあちゃんに「おまいら、こういうの好きだろ?」みたいにせせら笑われてしまうのさ。まさしくそうですけども!ああ、耳が痛い!

 

澤村伊智おもしろいな。「ぼぎわん」も結構面白かったし。

くそう、次は何読もうかな!

 

 

 

 

 

「ひみつのしつもん」読み終わるのがもったいない奇天烈エッセー

岸本佐知子の「ひみつのしつもん」を読んだ。

 

ひみつのしつもん (単行本)

ひみつのしつもん (単行本)

 

 

頭くらくら、胸どきどき、腰がくがく、おどる言葉、はしる妄想、ゆがみだす世界は、なんだか愉快。 いっそうぼんやりとしかし軽やかに現実をはぐらかしていくキシモトさんの技の冴えを見よ! イラストは今回も、クラフト・エヴィング商會

『ねにもつタイプ』『なんらかの事情』に続く、『ちくま』名物連載「ネにもつタイプ」3巻め。

 

読み終わるのが残念過ぎて、一回につき2話しか読まないと決めていた。

読み始めと読み終わりでは全く違うところに着地しているような、とにかく「キシモトワールド」としか言いようがないエッセー。

 

どの話もおもしろすぎて、全頁引用したくなってしまうが、まずはリンク先のアマゾンさんに載っている表題作「ひみつのしつもん」を読んでほしい!

 

ログイン画面でパスワードを忘れたとき用の保険で「いくつかの質問に答える」というのがある。

彼女は「子供のころの親友の名前は?」と選んだというのだが、ところが小六のとき毎日のように遊んだ「ゆりちん」でも、小二のときの「としこちゃん」でも、園児時代の「サキちゃん」でもない。軽く焦ってとうとう、妄想上のお友達、イマジナリーフレンドのことまで思い至っているうちに、質問が変わっていたという。

 

ああ、もう私が説明しても全然面白くない!よんでほしい!


ちなみに私の秘密の質問は「好きな食べ物は?」「エクレア」だ。

小学校時代に読んだこの本の「中のクリームがこぼれないように稲妻のように素早く食べなければいけないので、フランス語の稲妻=エクレアという名がついた」というエピソードに由来している。

 

チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)

チョコレート戦争 (新・名作の愛蔵版)

  • 作者:大石 真
  • 発売日: 1999/02/01
  • メディア: 単行本
 

  な、なつかし~!!!

 

こんな感じで、キシモトさんの脳内であちらにとびこちらではじける不思議な世界。

受けを狙っているわけではない(たぶん)のにどうしてこんなに面白いんだろう。

私の好きな話はジュンサイの話。身を守るために出したぬるぬるがおいしいとかえって人間に食べられてしまう、ジュンサイの過剰な何かについて語られている。

 

閉塞感あふれるこの時代、ぜひぜひ読んでみてほしい!

やっぱりシュールでスプラッタ「筒井漫画瀆本」

高校生のときアホホド読んでいた筒井康隆の「筒井漫画読本」を読んだ。

 

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あー、このコマ、筒井康隆の不条理さをよく表していると思いません?

高校生の時、めちゃくちゃ読んでいたのに最近はとんとご無沙汰していて、久々にこのシュールさを思い出してニヤついた。

というか、高校生の時によく読んでいたなーこんな不条理だらけの本。

正直今だったらそんなに楽しめるか、続けざまこれを読めるか疑問だ。
分からないことを楽しめるのも体力というか気力のようなものがいるのだろう。

 

そう、筒井康隆ショートショートを読むのは気力がいるのだ!

 

筒井漫画瀆本 壱 (実業之日本社文庫)

筒井漫画瀆本 壱 (実業之日本社文庫)

  • 発売日: 2019/08/03
  • メディア: 文庫
 

 

内容紹介

日本文学界が生んだ鬼才・筒井康隆の作品群を、
17名の漫画家がそれぞれの感性でコミカライズした驚異のアンソロジー、ついに文庫化! 

日本SF黎明期を支え、今や正真正銘、日本文学界の大スターとなった筒井康隆
その傑作・怪作の数々が、執筆陣の独自解釈による、衝撃のコミック作品として、再降臨! 
SF、スラップスティック、不条理……広大無辺・予測不能のツツイワールドが、今ここに!! 

【収録作品】
相原コージ「死にかた」
吾妻ひでお「池猫」
いしいひさいち「大富豪刑事
内田春菊「ムロジェクに感謝」
蛭子能収「傷ついたのは誰の心」
加藤礼次朗「TROUBLE」
喜国雅彦「鏡と薬と正義と女」
けらえいこ「妻四態」
三条友美「亭主調理法」
清水ミチコ「傾斜」
しりあがり寿「樹木 法廷に立つ」
とり・みき「我が良き狼」
ふくやまけいこ「かいじゅうゴミイ」
まつざきあけみ「イチゴの日」
南伸坊「禁花」
矢萩貴子「セクション」
山浦章「星は生きている」
さらに巻末には、原作者である筒井自身が執筆した短編漫画「アフリカの血」も特別収録!!

 

 

あんなに読んだ記憶はあるのに、なんとなく筋を覚えていたのは「死に方」と「イチゴの日」のみ。

最初にのっけた鬼の一コマは「死に方」の最後なんだけど、ある日会社に突然オニがやってきた。から始まり、何の理由も原因もわからず一人一人殺されていく。

鬼とのコミュニケーションができるとわかったとたんに条件を持ち出すところとか、マジで人間ってホントこんな感じだよねと思う。

 

泣いても、逃げても、あきらめても、見て見ぬふりをしても、とにかく一人一人の死に方を確認しながら殺していく。

 

結局最初から最後まで何のためにやってきて救いが現れるわけでもなく、最後の一コマ「でもやっぱり殺すのだ」と終わる。

 

オニは何かの災厄を表しているのだろうな。

 

 いやいや、なかなかのトラウマ本・・・救いもオチもない。これは泣く。

 

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もう一つ覚えていたのは「イチゴの日」

世間ぐるみでものすごく不細工な娘を小さいころから「美しい」と言い聞かせ育て、皆、陰でニヤニヤしながらアイドルとしてちやほやする。

ホント人間てどこまで残酷なことができるんだという、吐き気を催すような話なんだけど、最後の終わり方が・・・そう来たかってやつですよ。

 

 

このね、まつざきあけみの美麗な絵がね、こうなってこうね。もうこれは読んでもらった方が早いってやつですよ。

ほんと、タイトルのイチゴが生きてくるわけですわ。


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最後は、筒井康隆自身が描いた「アフリカの血」

ホント多才だな~面白かった。まさしくマンガ描いても鬼才!

確か昔本人100%描いたマンガ本を持っていた気がする。これだったか?

 

筒井康隆漫画全集

筒井康隆漫画全集

 

 いまでは文学界のご意見番、重鎮的な感じだけど、やっぱり昔はめちゃくちゃトガッてますわ。

たまにはマンガでトガっていたころの筒井康隆(80年代)を思い出したい方におススメ!

(若い子にもおススメ!こういうの読んで大人になってくれ!)

表紙がとうとうR指定「悪魔の設計図」

横溝正史の「悪魔の設計図」を読んだ。
角川文庫の横溝正史シリーズといえば杉本一文の表紙絵だが、今回は群を抜いて目立つ!遠目にはグロテスクだけどよく見ると美女が苦悩している。よく見てもグロテスクかな。

 

 

庭の隅に立つ大木に、セメントでギッチリ充填された洞がある。そこには一握りの長い髪が生え出し、冷たい秋風にバサリバサリと揺れていた。すぐに発掘が始まり、やがてそこから女の真っ白な脛が…。役者殺しを皮切りに、たて続けに殺人が起きた。事件解決に乗り出した由利先生と三津木俊助は、被害者が一様に或る大富豪の隠し子である事実をつきとめた。だがその時、最後の遺産相続人である盲目の娘に、犯人の魔の手が! サスペンス豊かに描く本格推理小説。表題作ほか2篇を収録。

どうやら、由利先生登場の一編のようで「由利先生がいかに探偵になったのか」が書かれています。この部分だけでも必読かと。

 

私が一番最初に読んだ「蝶々殺人事件」では、由利先生ったら美人の奥さんをお貰いになったばかり、という設定だったため、今回の寂しいやもめ暮らしの描写に驚いた。

 

初の由利先生シリーズ「蝶々殺人事件」 - iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

 

悪魔が計画通りに殺人を行うことを設計図、と言ったのだが、この犯人はクレイジーなので親子との情とか全くない。

我が子を計画通りに粛々と手にかけていくのだから、ひどい。とってもねちっこい性格で、なんでそんな酷いこと考えつくかな、と思うほどの奴だ。

ネタバレで申し訳ない。

由利先生は、一発で変装を看破したかと思えばあっさり犯人に出し抜かれたりして忙しい。  

 

それにしても美しい盲目の少女が助かってよかった。

 

表題作他ニ編は次の通り。

「石膏美人」

由利先生の相棒、三津木俊介の恋人とその家族の話。これかなり面白かった!

 

男の人同士の過剰なまでの友情に、最後鼻がつーんとした。

執着が強すぎて憎さ百倍と犯行が起こるのだが、犯人が疑っていたことは全て誤解、悪意のない1人の人物が原因で人生が狂ってしまっただけだったのだ。

 

最後の最後に誤解がとけるのだけど、由利先生は犯人の自決を止めなかった。

そっちの方がどれだけ優しいか、と。

 

今だったら、日本推理協会のコアコンプライアンスに違反しそうだ。あるのかどうか知らんけど。

 

この話、最後我らが三津木俊介、振られてしまうのであります。可愛そう〜〜

 

「獣人」

これはもうアレですね、江戸川乱歩ジュブナイルかって感じの話。

ゴリラのような獣のような正体不明の生き物の恐怖。

若返るため理性を捨てた1人の学者ホラーのようなサスペンス。

ただ、由利先生がまだ若い学生の頃のお話なので、貴重と言えば貴重かも。

その頃からなかなか頼りがいのあるナイスガイだったよ。

 

由利先生の若い頃を知りたい方におススメ!