為末大と今井むつみの「ことば、身体、学び 「できるようになる」とはどういうことか」を読んだ。
元オリンピアンで著作も多く、「走る哲学者」とも呼ばれる為末大氏。
為末氏が現役時代から興味をもっていたというこの問いを、言語習得研究の第一人者である今井むつみ氏が受け止める。
私たちが意識せず使いこなしている「ことば」とは何だろうか。
「言語能力が高い」、「運動神経がいい」とはどういう状態を指すのだろうか。
スポーツでも言語の習得でも、繰り返しながらやさしいことから難しいことへ、段階をふんだ「学び」が必要になる。しかし、「学び」とは単なる知識の獲得ではなく、新しい知識を生み出す「発見と創造」こそが本質であると今井氏は言う。その究極のかたちを為末氏は、調整力の高さ、すなわち「熟達」と呼ぶ。
私たちはどのように学ぶのか、そこに身体がどのようにかかわってくるのか。
スポーツでも楽器でも「できるよう」になるためには、身体的なスキルの向上が必要だ。
例えば誰かに早く走る方法やハードルを飛び越える方法を教えるには、どうしたらよいのか?
まずはやってみせて、真似をさせる。
しかし、ある程度の所までできたとして、その先を伝えるためには、言葉を使うしかないのである。
長嶋茂雄選手に、ホームランを打つコツを聞いたら、「.シュって来たらバーンです」と言ったといわないとかのもはや笑い話のような偉人伝があるが、自分が身体を動かせることと、それを言葉にしする能力は別のものだ。
この本は2人が丁寧に言葉にすることの大切さ、学びを深めるにはどうすればよいのかを話している。
それもそのはず、為末大は陸上選手としてオリンピックまで出たいわば身体の取り扱いプロだし、今井むつみ著名な言語学者だ。
2人のトップ選手達が、身体と言葉の関係を話すのだからなかなか面白い対談だった。
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赤ちゃんが言葉を覚える過程やオノマトペについて書かれているそうだ!
読みたい!絵が可愛い!