iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」胸が熱くなるSF

アンディウィアーの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を読んだ。

Audibleでリリースされたときから目をつけていたのだが、上下巻(そう読み上げ時間が20時間超え)に恐れをなして躊躇していた。

 

ちなみに、Audibleでは読み上げ時間が10時間を超えるとファイルが2つに分かれる。

プロジェクト・ヘイル・メアリーは4ファイルに分かれていた。ここまで読み応えがある本はそうない(三体には負けるけど)

 

前作の「火星の人」でも思ったがこの本の主人公「グレース」は心の底から「良き人間」だった。

 

聖人君子ではない。

愚痴も言うし、ビビり散らかすし、慎重かと思えばドジなところもある。

でもね、卑怯なことはしないし、諦めない。

そして、いろいろなことを知っていて、組み合わせて考えることができる。

 

彼のような人は一緒に生きる人に力を与える、太陽のような人間だと思う。

こういう人物を書けることがアンディ・ウィアーの魅力なのかもしれない。

読後感がいいと良く言うけれど、読後だけじゃなくて読書中もなんだかニコニコしてしまう微笑ましさがある。

 

物語は最初っから目が話せない。

主人公の「私」が目覚めた時に自分のことを全く覚えていないことに気づく。

医療用チューブに繋がれベッドに横になっていた。

 

そこから、徐々にここに至る経緯を思い出していくんだけど、最初っから「あー私がこの状態だったら、きっと自分のことが誰だか推理する事ができずにおわる」と思った。

 

だって、彼は自分がどこの誰かもわからないのに「大体何フィートくらい」と心に浮かんだから、自分はアメリカかカナダ人ではないか、といった感じで推理していくのだ。

そう、グレースはとても物知りなのだ。

 

 

太陽のエネルギーを食べてしまうバクテリアが繁殖し、このままだと地球は太陽からの熱を受けそこねて30年後には人類が滅亡してしまう。

だがこのバクテリアに侵されているのに、熱エネルギーが減っていない惑星が発見される。

地球からはこの星を調べれば解決策がえられるに違いないと調査隊を編成するが、

様々な事情から片道分の燃料のみ積み込んだ決死隊となってしまう。

この3人のクルーたちの一人が主人公グレースだった。

ただ、目が冷めたときにはグレースは一人になっていた。自分が誰かも思い出せず横には2人分の死体があったのだ。

 

そんなこんなで波乱しかない幕開けだけど、更にとんでもないことに彼はロッキーという宇宙人に遭遇するのだ。ファーストコンタクト!

 

驚くべきことに、ロッキーも宇宙の旅の途中で他の乗組員達が死滅してしまいひとりきりだったのだ。

境遇は一緒だが、住む世界も見た目も全く違うグレースとロッキーが友情(としか言いようがない)を育んでいく過程が楽しい。

(ロッキーの住む星はアンモニアが漂い気圧が地球の25倍だ。見た目はまるで岩のようで体内を巡る循環器には水銀が流れている)

 

とにかく、限界ギリギリの状況でも常になんとかなっちゃう二人の頑張りに胸が熱くなる。

もちろん幸運もあるけど、グレースの科学の知識とロッキーのエンジニアの才能があればこそなんだよなぁ。

 

流石にこの先の人生で宇宙に飛ばされることはないとは思うが「教養と知識って大事よなー」としみじみ思う。

 

絶賛映画撮影中らしい。映画で見るか、原作を読むか、ですぞ!

 

 

大ヒット映画「オデッセイ」のアンディ・ウィアー最新作。映画化決定!未知の物質によって太陽に異常が発生、地球が氷河期に突入しつつある世界。謎を解くべく宇宙へ飛び立った男は、ただ一人人類を救うミッションに挑む! 『火星の人』で火星でのサバイバルを描いたウィアーが、地球滅亡の危機を描く極限のエンターテインメント

 

 

ちなみに「火星の人」はマイ・ベスト5に入れている。

 

ichi-z.com

火星の人〔新版〕 上 (ハヤカワ文庫SF)

 

次に読みたい本

夏といえばSFだがもはや秋。(でも気温が夏だから夏)なんだか、SFがもりもり読みたい気分だ。

プロジェクト・ヘイル・メアリーの中で「なんだかハイラインの小説に出てくる宇宙船みたいだ」という言葉があったので未チャレンジのハイラインを読んでみたい。

 

月は無慈悲な夜の女王

あ、未チャレンジじゃなかった。「夏への扉」を書いた人かー

 

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私の夏はSF推しは少なくとも5年前には始まっているらしい・・・

血が騒ぐのかしらん。