夏木志朋の二木先生を読んだ。
本屋でポスターを見かけて、読みたいなと思っていたらAudible（オーディブル）で聴けるようになっていた。
あらすじ
どうしたら普通に見えるんだろう。どうしたら普通に話せるんだろう――。いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは言わない。クラスのなかで普通に息さえできたなら。そのためならば、とむかしから好きでもない流行りの歌を覚え、「子供らしくない」と言われれば見よう見まねで「子供らしく」振舞ってもみた。でも、ダメだった。何をやっても浮き上がり、笑われてしまう。そんな田井中にとって唯一の希望は、担任の美術教師・二木の存在だった。生徒から好かれる人気教師の二木だったが、田井中はこの教師の重大な秘密を知っていたのだ。生きづらさに苦しむ田井中は二木に近づき、崖っぷちの「取引」を持ち掛ける――。社会から白眼視される「性質」をもった人間は、どう生きればよいのか。その倫理とは何か。現代の抜き差しならぬテーマと向き合いつつ予想外の結末へと突き抜けていく、驚愕のエンタテインメント。2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。
表紙とんがっちゃってます
あの青い鳥文庫を出していたポプラ社が、この黄色い騒がしい金の表紙の本出すなんて、の衝撃。
何か、いつの間にかとんがっちゃった？
自分が宇宙人かもしれない主人公
普通でいいと言われてもそれがわからなくて、困っている子達は結構いる。
彼はきっと賢い子なんだろうな。みんなと同じになるために、必死で普通の習得しようとする。
子供らしくないと言われ、子供らしさを研究と実践。
そもそも、そんな事できる時点で子供らしくはない。
せっかく地球のルールを学ぶ宇宙人かのやうに生きてきた彼も高校生になると子供らしくなる必要がなくなって、それゆえに存在感が出てしまう。
残酷な世間はすぐにそれを標的にし排除しようとする。信じられない熱意で。
みんな世界にたった1人の特別な私だと思っているくせに、みんなと同じゃないと怖い。
普通の生徒の皮の中にむりやり自分押し込めようとする、でもみんなこの皮はいつか脱ぎ捨てるんだと思ってるんじゃないのかな？
彼が窮屈な皮をかぶるこのルールを守らないのが許せないのだ。
そこがどんなに狭い空間なのか気付くことができるのは、今のうちにだけかもよ。
大人なって特別になりたくても、さて張り付いた皮がはがれるかな？
本来なら誰が何をしたっていい。人に迷惑さえかけなければ、宇宙人だっていいはずじゃないか。
ちょっとびっくりはするけど刺激的なクラスメイトだ。
それにしても、担任の先生を脅迫するってなかなかやるなぁ
マイノリティの生きづらさを垣間見る
二木先生のような趣味、いわゆるロリコンの人たちがいつもはどのような気持ちでいるか考えたことなかった。
犯罪を起こしていなければわからないしね。
なので、ロリコンイコール犯罪者の公式が出来上がる。
でも、犯罪を犯してないロリコンの存在は考えたことがなかったわ。
擁護するとか言うより、存在に気付くことがなかったのは我ながらびっくり。
異性愛者の中には暴行する人間がいるけれど、異性愛者をを憎むことはない。イコールではないことを知っているからだ。
あ、でもだめだ。やっぱり無理、ただただサイテーと思っちゃう。
でも、これって思考停止と同じなのかな？ちょっとだけ考えてみる。
やはり止められるのであればやめろ。だな。むしろ辞められるのであればやめないことを軽蔑する。
一方、二木先生みたいに、どうしても止められない人も中にはいるのだろうか。
いるのであれば仕方がないというか、軽蔑はしない。ただし高い倫理観を持ってきて欲しい。
タイトルのニキに引っかかる
二木、ニキ？なんかよく見かけるネット用語な気がするけど意味はよくわかってなかった。
調べてみると「ニキは兄貴：親しみをこめて〇〇兄貴を〇〇ニキと呼ぶ」だって。
なるほど！それでこそのこのタイトルなんだ！
タイトルが伏線とかおしゃれかよ。
知らずに読むのと知ってて読むのでは受け取り方が変わりそう。
こんな人におすすめ
自分のことを宇宙人だと思っている人
クラスになかなか馴染めない人
夢を語るのが恥ずかしいと思っている人
人とは、違う性癖を持っている人
人生の兄貴を探している人
次に読むのはこんなのがおすすめ
先生つながりで夏目漱石のこころとかどうかしら
