それぞれの短い感想。
踊り場の花子
私、この話好きだわ。
ある小学校に伝わる「花子さん」の七不思議。
普通はトイレに出る花子さんだが、なぜかこの小学校では踊り場に出てくる。
人の良さそうな小学校の教師の化けの皮がじわじわと剥がされていくのが怖い。
結局、花子さんが怖いというより、人間が一番怖いよね。
ブランコを漕ぐ足
そうそう、小学校(中学校だったか?)では周期的にこっくりさん、もしくはキューピットさんが流行るよね。
クラスの人気者とちょっと仲間外れ、ばかにされている感じの子供。そういうバランスって私が小さいころから確かにあったけど、上のグループ、下のグループなんて表現をしてたかな。してたかも。久しぶりに聞いてて苦い思いが湧いてくる。
小学生たちの残酷さはシンプルにむき出しの人間の習性でもある。大人になったら、巧妙にそんなことを忘れたふりをして、人間関係を作っていくけどね。
この話は、ちょっと暗い感じの女の子を「こっくりさん」に誘うと(霊感強そうというちょっと馬鹿にしたきっかけ)10円玉がくいくい動くのがうけて、彼女は一気に「上の」グループに入っていく。
でも、それが気に食わない子もいて・・・という話。
おとうさん、したいがあるよ
これ、ちょっとコミカルなお話。いや、ホラーなのかしら?
イマイチよくわからなかったのだが、祖父母の家に行くとたくさん死体がでてくる。家族全員でそれを悪びれず「隠蔽」するのだが、一緒に死体を処理した両親はそんな重大事を「すっかり忘れたかのように振る舞う」。
なんというか、ここらへんの大事をあっけらかんと済ます感じはまるで星新一のショート・ショートみたいな感じ。ポップな悪夢というか。
結局あれは彼女の夢だったのかなー。とにかく一人や二人じゃないので逆にそんな馬鹿なって感じなんだけど、面白かったからいいや。
ふちなしのかがみ
表題作のこの話、あわれでゾッとしてしかもミステリー味もなかなかの後味でした。
ふちなしの鏡って、確かに鏡の世界と現実の世界の境界線がないともいえるね。
表紙のイラストが若い女性なのでうっかり騙されていますが(ネタバレです。ごめんなさい。驚きたいひとは忘れてくだされ)実は、っていう話。
この女性が周りからどのように取り扱われていたか、最後の1ページを読んだら全部伏線回収!という感じで納得が行く。
辛いし怖いわぁ。
八月の天変地異
少年の夏の日の思い出。浅はかな嘘をついて、クラス内で嘘つき呼ばわりされる俺。
切羽詰まった小学生男子だが、想像上のハイスペックな親友が本当に現れた時に「羽化を見守ったセミの精??」とか思っちゃうところはかわいい。