女は40を過ぎると着物が着たくなるというが、本読みは40歳すぎると、古事記とか、万葉集とか、遠野物語とかを読みたくものである。
・・・堂々と書いてみたが嘘だ。しかも40を過ぎたのは結構前だ。
京極夏彦をまとめて読んだら、急に遠野物語を読みたくなって青空文庫を読んだ。
なんか、民俗学学びたい気分。
現在の岩手県遠野市は、以前は山にかこまれた山間隔絶の小天地だった。民間伝承の宝庫でもあった遠野郷で聞き集め、整理した数々の物語集。日本民俗学に多大な影響を与えた名作。
面白いのは、どこどこのだれだれが実際に体験した不思議な話の集積という形でつまり「会いに行ける怪異」をまとめただけなのだ。
これって、上品な実録犯罪ムック本的な?ここまでではないか。というか、一緒にすんなか。
でも、基本的には一緒なんだよ。
誰かの祖父の知り合いがとか、今あそこに住んでるだれだれの祖先とか、まるで近所の人のうわさ話のように不思議な話が語られる。
そしてやはり気になるのは有名なオシラ様。
なぜか最近オシラ様が気になってしょうがない。なぜ気になるのかは全く説明つかないが、オシラ様について簡単に説明すると、有名なところでは千と千尋の神隠しにも出てきたが、実際には東北地方の家の神で、もっと雑に説明すると木の棒に布をかぶせたものだ。
正直、モノクロ写真で見た私はぞっとした。
(千と千尋のほうは、白くてふわっとして赤いビキニのような褌をはいた巨体ですよ。一瞬巨乳?と思われる口ひげが生えたやつ。。。といいつつ、絶対伝わらない自信があるのでリンク張っとく。一番でっかい白いやつがオシラ様)
さて、オシラ様は、 遠野物語の中では「馬娘婚姻譚」として有名。
短いのでこちら「いちのせき市民活動センター」さんよりで引用させていただく。
遠野の昔話「オシラサマ伝説(馬娘婚姻譚)」
昔ある処に貧しき百姓あり。妻はなくて美しき娘あり。また一匹の馬を養ふ。娘この馬を愛して夜になれば厩舎に行きて寝ね、つひに馬と夫婦になれり。
ある夜父はこの馬を知りて、その次の日に娘には知らせず、馬を連れ出して桑の木につり下げて殺したり。その夜娘は馬のをらぬより父に尋ねてこの事を知り、驚き悲しみて桑の木の下に行き、死したる馬の首にすがり泣きゐたりしを、父はこれをにくみて斧をもちて後より馬の首を切り落せしに、たちまち娘はその首に乗りたるまま天に昇り去れり。オシラサマといふはこの時よりなりたる神なり。
(「岩手・遠野伝承園」館内看板より)
ムホッってかんじでしょ?
ただ、青空文庫版は文語体で書かれているためすんなりとはわかりにくい。
というわけで、すんなりと読めそうな水木しげるの遠野物語もゲット。
座敷童、河童、鬼……生活の中から人々の想像力が生み出した妖怪が、今動き始める。妖怪の原点である柳田國男氏の名著を水木しげる氏がコミック化。日本妖怪史上最強の黄金タッグが実現。妖怪の里遠野紀行も併録。
こんな感じ。口語訳以上、もはや、水木語訳。ちょいちょい、水木さん本人も出てきて楽しい。
というわけで、ここまで来たら普通の口語訳も読みたいんだけどどっちにするかなー
やはりここは京極夏彦版かな~
とはいえ、高校時代に井上ひさしもかなり読んだので懐かしいなぁ。
こんな絵本がシリーズで出ていたことは知らなんだ。
これは図書館チェックだな。
そして、井上ひさし版。
ああ、この表紙はたぶん安野光雅・・・好きすぎる。
というわけで、謎のオシラ様熱を発している私だ。
なぜこんなにオシラ様が知りたいのかが解明したらまたブログをアップする。
はず。たぶん。知らんけど。