先月は個人的京極夏彦フェアであった。
そもそも去年夏くらいから「別々の出版社から、毎月一冊 今昔百鬼拾遺シリーズを刊行」していた京極夏彦。
うわー、こりゃすごいね、と遠巻きに見ていたのだがメルカリにて三冊セットでお安く出品されているのを発見して思わずポチリ。
イヤー久しぶり読んだ。
ひさしぶりすぎて、すっかりあの京極節にあてられてしまい、とりあえず登場人物のおさらいがしたくなってしまい、とはいえあの厚みに再チャレンジする体力がないので漫画版でお茶を濁す。
そもそも、京極堂のスピンオフのような感じであの拝み屋で古本屋の目つきの悪い人は出てこず、その妹の中禅寺敦子と前回の事件の関係者の少女「呉美由紀」ちゃんを軸にした物語。
で、読みだすと呉美由紀の以前の事件のにおわせが気になっちゃって途中でこちらの漫画版に手を出す。
絡新婦の理で被害者の友達としてキーパーソンを務める、きわめて「まっとう」ではきはきしたかわいい女の子。ええ、もちろん読んだはずなのに全く記憶になかったですよ。
絡新婦の事件後、またしても自分の居場所が見つからないようなお嬢様学校に転校させられてしまう美由紀が、またしても立て続けに事件に巻き込まれるのだが、今回はすべて京極堂の妹、中禅寺敦子と美由紀が解決していく。
物語のテーマは以外にもLGBTなどが含まれる。
敦子が慎重に語るのに対し、美由紀は説明できないけどこんなのおかしい!と叫ぶ。
毎回、京極夏彦がやっていた言葉による憑き物落しを少女のまっとうな感性だけでやってしまう感じ。それはそれでスカッとする。
ただ、京極さんの少女に対する幻想がちょっと重めだと、四半世紀以上前の少女だった私は思うのだ。
いつもいつもこんなに、まっすぐでまっとうだったら、それはそれで鼻つまみ者になるだろう。少女ならあり、という感じが少し透けて見えているというか。少女に夢を持ちすぎだ。
いや、もっと気楽に楽しめばいいのだけど、ね。
そして、結局京極フィーバーに火がついてしまって言うのだけど。
(漫画版を・・・3シリーズ揃えてしまった)
さて、上記の3作、1冊1冊は極めて常識的な厚みであるがこないだ一冊にまとまって新書が出ていた。
「先祖代代、片倉の女は殺される定めだとか。しかも斬り殺されるんだという話でした」 昭和29年3月、駒沢野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪事件に不審を覚え解明に乗り出す。(「鬼」)
複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るが―。山奥を流れる、美しく澄んだ川で巻き起こった惨劇と悲劇の真相とは。(「河童」)
是枝美智栄は高尾山中で消息を絶った。約二箇月後、群馬県迦葉山で女性の遺体が発見される。遺体は何故か美智栄の衣服をまとっていた。この謎に旧弊な家に苦しめられてきた天津敏子の悲恋が重なり合い―。『稀譚月報』記者・中禅寺敦子が、篠村美弥子、呉美由紀とともに女性たちの失踪と死の連鎖に挑む。天狗、自らの傲慢を省みぬ者よ。憤怒と哀切が交錯するミステリ。(「天狗」)
さすがの厚み。ポケット六法くらいはありそうな・・・ そして、お値段。
漬物はつけられないけど、ドアを開くために使ったりくらいはできそうなレベル。
さて、おかげさまでずっと卒業を決め込んでいた京極堂を再読しようと思いたったものの、取り合えず志水アキの漫画版から手を出しちゃっているのである。
(だってノベルスは重いんだもん)
志水アキといえば、京極堂シリーズのコミカライズをずっとやってくれている人で、イメージピッタリな絵が大変好ましい。
最近こんなスピンオフ?を出して話題作になっている模様(読まなきゃ・・・)
さあ、今年の読書の秋は私は京極堂シリーズをちょっと読んでいこうとおもっている。
個人的には、民俗学とかそういうモチーフの本が読みたい気分。
何だろ、大人になったからだろうか?都会的でスタイリッシュじゃないミステリが読みたいのだ。