読者が打ちのめされる書評ってのもめずらしい。この本は、米原万里さんが昨年なくなってから、初めて出された彼女の行った書評の総括。
書評って、なかなか大変な作業だと思うわー。感想とは違い、読むときも神経を使うものでしょう。本当にエンターテイメントとしての読書をたのしめなくなりそうです。
しかも、「書評だけ」こんなに膨大に読んで飽きることがないというのは、単に本の紹介やセールス文章ではない、彼女の創作した部分が大爆発!!しているから。
読んだことも、読もうとも思えない硬い本も実は多い。
彼女はロシア語通訳第一人者でもあり、旧ソ連あたりの政治や動向に興味があるらしく、関連した本の紹介が多い。(私のあまりにも不勉強さからこのまとめ方も間違ってるかも知れぬが)
それでも、この本を読んでいるうちに読みたい本がどんどんリストアップされてメモ帳がいっぱいに。
早速、図書館で見つけられるだけ借りちゃった。
・姫野カオルコの「受難」(にやにや!高校生あたりだったらむさぼるように読むことだろう)
・東海林 さだおの「丸かじりシリーズ」(いままでおじさん向きとおもってってた~こんなおもしろい「おじさん向け」だったとは!!読まなきゃもったいない)
・恩田陸の「ドミノ」 (先ほど読了!この大人数を動かすパワー。すごい!!)
・丸谷才一の笹まくら(うーん、これはちょっと。私は好きじゃないかも)
・・・軽いのばっかりだけど!
それにしても、がんを告知されてから”座して死を待つほどの度胸のない私は・・・”と、いろいろと勉強して(その本を紹介してある)いる姿は、自分をヒロインにしない、いつも客観的な視点を忘れずない、とても強い人だと思いました。
なーんで、生きているうちにこの人の本を読まなかったんだろう、
嘘つきアーニャの真っ赤な真実もすごく心を揺さぶられた本だったのに。
ああ、合掌。