iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

エモい(使い方あってる?)「犯罪小説集」

 

犯罪小説集

犯罪小説集

 

 


この人の小説はどうしてこう、どこか皮膚の弱いところをかきむしられたよう痛さを感じさせるんだろうか。

いつも読み始めて、重すぎて読むのに胆力がいったんだった!と気づくが後の祭りだったという。

 

こういう気持ちをひっくるめてエモいというのじゃないだろうか。

 

うん、心を動かされた(どっち向きにとかは関係なく)時に使うという意味では便利な言葉だ。語彙力なくても大丈夫!!

 

とにかく、読み出したら引き込まれるのだが、一旦読みやめると次開くときになーんか気が重くて、なかなか読了までに時間がかかった。

犯罪小説と銘打ってるだけに、どれもこれも最後はだれかが不幸になっちゃうとわかっていて読み進めないといけない。

かグイグイ引き込まれるているかと思うと、途中でポンっと事件後に放り込まれたりする。

 

タイトル通り、どこかで聞いたような犯罪、みんなが あ、この話はあの事件のことだなと気づくような。事実ではないが、こんな事件あったよねという思いが、紡ぎ出される物語にリアリティを与えている。

 

さて、この犯罪小説集、きっとネタバレサイトがあると見た。

 

 

で、発見したのがこちら。よなよな書房さん。

こんなリンクの貼り方しかできなかった。私ってこんなリンクの貼り方しかできない子だったっけ?

 

https://hyakuhon.com/novel/%25E5%25BE%25B9%25E5%25BA%2595%25E3%2583%258D%25E3%2582%25BF%25E3%2583%2590%25E3%2583%25AC%25E8%25A7%25A3%25E8%25AA%25AC%25EF%25BC%2581%25E3%2580%258E%25E7%258A%25AF%25E7%25BD%25AA%25E5%25B0%258F%25E8%25AA%25AC%25E9%259B%2586%25E3%2580%258F%25E3%2581%2582%25E3%2582%2589%25E3%2581%2599%25E3%2581%2598%25E3%2581%258B/

 

 

そうか!一番最後の話はあの人の事件か!

なんでも10月より「楽園」というタイトルで映画が公開されるらしい。

映画『楽園』公式サイト

ミャンマーの柳生一族

 

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)

 

 


二度見するタイトルである。

モンゴルのチンギスハンが日本の武将だった!レベルのヨタ話かと思いきや、あにはからんやミャンマー鎖国政策を江戸時代に、そしてミャンマー政府を徳川家に例えてわかりやすく?してくれているのだ。

 

作者、高野秀行氏は有名な冒険作家。その書き味は軽妙でひょうひょう。

と、知ったかぶったが実は初めて読む作家さんだ。

 

探検部の先輩、船戸与一氏とともにミャンマーに取材旅行のまさしく面白珍道中。

 

道中記は2004年当時のミャンマーの市井の人々と柳生一族に例えられる、ミャンマー政府の情報部(ここら辺微妙)の様子がイキイキと綴られている。

 

流石に今の状況と変わってしまっているみたいで、そもそも国際情勢の知識があんまりない私でも、アウン=サンスー・チーがその後自宅軟禁を解かれて政権を獲ったことは知っている。

 

ものすごいタイトルだけど、そしてすごく面白い読み物んなんだけど、ミャンマーの近代史がよくわかる。

 

それにしても、ミャンマーに合法的に入国できて驚く話や、ミャンマー政府の寡黙なスパイかと思いきや意外と英語が不得意なだけだったり、数回電車の中で吹き出してしまった。

 

河畔に標なく (集英社文庫)

河畔に標なく (集英社文庫)

 

 

一緒にいく船戸与一氏のキャラクターもまた強烈!

この取材で彼が書いた本はこれらしい。船戸イズムが溢れた作品、になるはずと紹介されていてまたウケた。

 

メタ実話系「怪談のテープ起こし」

 

怪談のテープ起こし (集英社文庫)

怪談のテープ起こし (集英社文庫)

 

 

集英社の夏の文庫キャンペーンでおまけにつられて買った一冊。

(結局、しおりは品切れでもらえなかったんだけど)

 

この話、ホラー短編集なのだがその前後と間に作者と編集者のやりとりが挟まれていて、創作なのか実話なのかわからなくなってくる。

 

全編を通して、テープに吹き込まれ資料を元に再編された創作怪談ということになっているが、テープを聴いた担当編集者が徐々に怪異を経験し、突然消えてしまったりまた復活したり、とまさしくどこまで創作でどこまで実際に起こったことなのかわからなくなる。

メタミステリとは聴いたことがあるがメタ怪談は初めて。

しかもこの手法、かなり効果的だ。

読んでるうちに、自分と本の間に引いてあった境界のようなものが微妙に侵される感じ。

 

もちろん怪談なのでオチもなければスッキリした終わり方もない。

最後に暗号のようなものが提示される。

なんか、テープに吹き込まれた死ぬ直前に吹き込まれた声だかなんか。遺書とか、絶筆ならなんかわかるけど、吹き込まれた音声となるとかなりぞっとしない。

 

全く解ける気がしないので読み飛ばしてしまっていたが、先程読書レビューを巡回していたら、ちゃんと解いた人がネタばらしをしていてびっくり。

世の中には深く考えら人がいるもんだなぁ。わたし、さっさと本を閉じちゃたよ。

解決してもらえると少しスッキリ。

 

全体的にそこまで怖い話はないので、過激なホラーが苦手な方にもオススメ!

 

 

 

 

週末本屋パトロール「ブックオフ トリアス久山店」「今昔物語」

盆休みに一番やりたいことはなにかと聞かれれば、「・・・片付け?」と答えるくらい部屋が散らかっている。

ちなみに、これはやりたいことというよりやれねばならぬことかも。

 

まずはこの古本を売りに行かねば、ということで処分する本を探しだしたら

またしても家の中で、立ったまま漫画を再読してしまう。

(昨日は川原泉の中国の壺を少々。この話題の流れでつい)

ichieda.hatenablog.com

 

でやりがちだけど、処分本をまとめるまでに数時間、売りに行ってまた購入して帰ってくるという。

 

ちなみにブックオフトリアス久山店は、敷地広め、漫画多めで隣のハードオフともつながっているので、なかなかの時間泥棒な仕様となっている。

(しかも隣は100均という、もはや私の慎まやかな娯楽が全て揃ってる)

 

結局部屋は全く片付かなかったような気もするけども満足な週末だった。

ちなみに今回は50冊近く手放して1065円なり。

で、お家に連れて帰ってきたのは下の2冊。

 

今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫

今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫

 

 これは、最近ぼちぼち買い足している マンガ日本の古典。

気になってしょうがない「マンガ日本の古典」 - iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

残念ながら上巻のみしか手に入らず、近々下巻も我が家にお迎えせねばと思ったところ。

 

 上巻で面白かったのは「鼻の和尚さん」の話。

これって、芥川の鼻の元ネタと言われたやつよね?読んでない本を堂々と語ってみた。・・・というか読もう、無料だし。

 

鼻

 

他にも「藪の中」の元ネタ?もあった。
事件は今も藪の中、って芥川の小説かららしいよ~

もう一冊はこちら 

 

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

 

 読みたいと思ってたら、100円コーナで発見したので即買い。しかし、こちらも上巻のみしかないので、後ほど下巻を手配しなければ。

 

以上、片付けたかった人の家が散らかっていくさまをお伝えした次第。

江戸時代でも星ワールド全開「殿さまの日」

「殿さまの日」は、星新一にしては珍しい、いわゆる時代物だ。

しかし、流石というほかないくらいドライでクールな時代物になっている。

 

おそらく江戸時代なんだろうけど、なんとなくCGで描かれたEdo cityって感じで、SFぽい空気が漂う。

表題作「殿さまの日」とは別に「吉良家の忠臣」、「紙の城」など11篇からなる短編集。

 

殿さまの日(新潮文庫)

殿さまの日(新潮文庫)

 

殿さまの日は、なんという事件も起きないが殿さまの日常が語られる。

殿さまって大変なんだねぇと、同情したくなる事しきり。

 

暑くても寒くても、余計なことは言わず語らず。

いらん事言えば下々の者の責任問題になりかねず、江戸城に参内した時は少しのミスも許されず…。

 

これ、奇しくも大好きな漫画家、川原泉の「殿様は空のお城に住んでいる」で同じ苦悩が描かれていて、こちらは藩の不正を知りながら無能のふりをして機を待つ、という話。

 

中国の壷 (白泉社文庫)

中国の壷 (白泉社文庫)

 

 

川原泉に間違いなし。みんな読んだらいいのにとも思っている。

 

星新一と、川原泉なんとなく似ているかも。

独自のユーモア、人間観察とマイペースな感じ。飄々という言葉がすごく似合う。

 

殿さまの日も面白かったけど、最後の紙の城も良かった。

最近、kindle unlimitedで星新一がどかっと追加されたことだし、暑い夏にカラッとした話が読みたい方のオススメ。

 

 

 

夏はSFだよね「ミノタウルスの皿」

なんかこのところSFが読みたい気分だ。最近めっきり怪談ばっかり読んでる気もするが、

面白いSFを寝食忘れて読みたい!

 

ついては私に本をオススメして!と会社の人にお願いしてみた。

で、オススメられたのがこの三冊

 

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

 

夏への扉 は去年の夏やはり面白いSF病が発症したとき読んだのだが、なんかフィットしなかった。すごく爽やで素敵なんだけど、もちょっとスペースオペラの要素が欲しい。

古典の名作に向かって、なんと贅沢な。

 

 

SF、っていうか少し不思議な話でいいですか〜と紹介してもらったのがこれ。

あなたに似た人

あなたに似た人

 

む、これ面白そう。

チャーリーとチョコレート工場の人ですな。

 

そして、昼休みのうちにブックオフで購入に至ったのはこちらの一冊。 

ミノタウルスの皿

藤子不二雄ドラえもんだけじゃないぜ、と唸らせてくれる一冊。

ブラックだったり少々後味が悪かったり。しかし登場人物は相変わらずかわいい。

表題作ミノタウルスの皿はなかなか考えさせられる話。

人間そっくりの家畜と、牛そっくりの支配者がいる星

人間がビフテキを食べるようにこの星では、牛みたいなも者たちが人間みたいな者を食べる。

 

この星に不時着したオレは、美しいミノアという女性に出会うのだが、彼女は食料として生まれ喜んで食べられようとしているのだ。俺は、断固としてミノアを救おうとするのだが皆「何がいけない」と取り合わない。

考えれば考えるほどぞ〜っとする話。

 

それから、お化けのQ太郎のその後の話、ってのもなかなか面白かった。

ひさびさに人間界に戻ってきたQ太郎。仲良しのしょうちゃんが大人になってて、残業やら脱サラやら世知辛い!しかもなぜか劇画調。

最後にQちゃんのセリフがすごくよかった。これは必見かも。

 

いやーたまには人におすすめ聞くのも面白い!

とくに、あ、私が読みたいのは、SFの中でもスペースオペラと呼ばれる宇宙を旅する話が好きなんだとわかった。だれか宇宙を旅する感じのSFオススメて〜

 

 

夏のお楽しみ「ほぼ日の怪談」

 

ほぼ日の怪談。 (ほぼ日文庫)

ほぼ日の怪談。 (ほぼ日文庫)

 



一部のファンには毎年夏のお楽しみになっている、ほぼ日刊イトイ新聞の怪談コーナー
その名も「ほぼ日の怪談」

私も、かなり前から毎年夏にたのしんでいた。

ほぼ日の怪談 2019 - ほぼ日刊イトイ新聞

 

HP黎明期のような黒い背景にセンター合わせの読みにくさ・・・もちろん演出だけど、たまらんね。
さてその夏のお楽しみが今年は本になったらしい。

表紙はあの「ヒグチユウコ」
うん、いいねー。怖すぎずグロ過ぎず。

 

あの猫の人、ヒグチユウコ

 

総特集 ヒグチユウコ ―指先から広がる魔法― (文藝別冊)

総特集 ヒグチユウコ ―指先から広がる魔法― (文藝別冊)

 

 

内容は、すべての話が見開き1ページほどの短い「実話系」怪談。
色んな人が語る、怖かったりしんみりしたり不思議過ぎたりする話。

 

あとがきで、怪談は最後の良心だみたいな話があってそれも面白かった。
心霊写真や映像は今やフォトショップの力ではっきりくっきり「おわかりいただける」存在になってしまった。


だけど人が語る怪談は・・・という展開。
たしかにな~子供の頃にみていた「あなたの知らない世界」は本当に怖かった。(けれど楽しみだった)


しかも、kindleunlimitedで読み放題!

 

 

せっかくなのであなたの知らない世界を知らない世代へ。こんな感じて夏にお昼のワイドショーの時間帯にやってた記憶…風物詩。

あなたの知らない世界 - YouTube