大平一枝のエッセイ本「それでも食べて生きてゆく」を読んだ。
この本は、台所を通して人々の喪失と再生を描いている。
例えば、すい臓がんの母を告知せずに看取った娘、女性同士の同性婚からの泥沼協議離婚をした女性、学校に行けなくなった息子が作るクオリティの高いお菓子の話など様々なエピソードが綴られている。
台所は、その人のドラマや人生が詰まっている場所であり、台所を見ればその人が分かるとエピローグで語っていた。
そんな大袈裟な〜と思いつつ読んだが、読みながらポロポロと泣いてしまった。
これは台所の見聞記ではない、台所というキーワードだけが共有の喪失と再生の物語だ。
特に最初と最後のインタビューは同じ女性で、2回目のインタビューはご主人に亡くなってすぐ。
彼女の物語はNHKのテレビたまたま拝見してやっぱりポロポロ泣いてしまっまたのだが、全てを忘れたくて片付ける人もいるけど、忘れる必要がなくて全てそのまま片付けない人もいるんだなと思いました。
人々は喪失や再生を通じて、それでも生きるために食べる。
台所がそのようなドラマや人生を受け入れる場所であることが、たくさんの人の話を通じて語られる。
いい話だった。深い。
次に読みたい本
だからあなたも生き抜いて。
何故かこの人の書いたエッセイと思い込んでおり、あ、苗字か〜と。