高木彬光の白昼の死角を読んだ。
とにかく読み応えのある作品だった。
いろんな方のレビューをみると、「ピカレスク小説」 というキーワードが踊っていた。
はて、ピカレスク小説?
なんとなく聞いたことはあるけど説明はできないぞ、ということで調べてみると、悪漢小説、悪者小説とも呼ばれアウトサイダーを主人公にした物語らしい。
それにしても、コトバンクというサイトは面白い。
このピカレスク小説についての説明をいろんな辞書サイトから引っ張ってきてくれているのだが、「時にユーモアを交えた暴力的ではない小悪党(ピカロ)の物語」と説明をしている辞書(ニッポニカ)もあれば、
19世紀以降、ピカレスク小説は、ことにアメリカ小説の構成原理として有効に働き、マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』(1885年)から、J.D.サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』(1951年)まで、数々の秀作を世に送った。
みたいな、へーあのライ麦畑でつかまえてもピカレスク小説なの?と驚かされる、知恵蔵の説明もある。
「白昼の死角」は、社会の底辺ではなく東大生であったの鶴岡七郎の硬派な悪が描かれる。
決して暴力には頼らない頭脳犯、法学部に在籍していた彼は法の抜け目をつく詐欺手法をどんどん行っていく。
その仕掛けは、まるで映画スティングのように大掛かりでぶっ飛んでいる。
土曜日に、まったく関係のない別の会社に40数名の手下を引き連れて仕事をするふりをさせておき、信用させて手形詐欺だか何だか行うのである。
ただし、スティングとちがって、くすっとするユーモア要素はあまりない。
おそらく、現在では通じない手口も多いとおもう。
でも、情報が金になるこの時代。絶対に令和の鶴岡七郎のように法の死角をついて、悪いことをやっている人はいる気がする。
悪いことをしたら報いがあってほしいところだが、鶴岡はなぜか最後まで法律によって裁かれることがない。
そこがかっこいいような気もするか、最終的には鶴岡がどんな見た目かによる気もする。身もふたもなし。
ドラマ?映画?は結構なブームだったようで、夏八木勲が主人公でやっているらしい。
そりゃ、かっこいんじゃないの?
(あの時代の俳優さんはほんとかっこいいよね~今の大人よりずっと大人な雰囲気)
なんと、プライム会員は無料で読めるので硬派な悪漢を知りたい方はぜひ。