横溝正史の由利先生シリーズ「血蝙蝠」を読んだ。
肝試しに荒れ果てた屋敷に向かった女性は、かつて人殺しがあった部屋で生乾きの血で描いた蝙蝠の絵を発見する。その後も女性の周囲に現れる蝙蝠のサイン――。名探偵・由利麟太郎が謎を追う、傑作短編集。
血で描かれたコウモリ。バットマンのマークみたいなのかなー
表題を含んだ短編集。
由利先生が全く出たかない話とかも多くなってきて、ミステリーからも遠ざかって、ちょっとした因果が巡っちゃうよねーと言った軽めの読み物が多いかも。
「花火から出た話」
やったらかっこいい男の人が出てきます。これは、もしかして金田一のパトロンである風間氏ではなかろうか、と思い読んだ。
最後は、令嬢からの逆プロポーズ。さもありなん!
「マスコット綺譚」
手に入れたとたん幸せをもたらすという幸福のお守り。
ヒトを呪わば穴二つ、ではないけれどお守りは強力過ぎて副作用が激しい。
最後こんなものなくても幸せになれることを信じた主人公が海に投げ捨てる、絵になる良いイラストでした。
「銀色の舞踏靴」
由利先生出てきます。怪しい博士出てきます。
でも、由利先生よると、博士は普通怪しいので怪しい博士は普通の博士であるという理論で真犯人は別にいました。
こズルい小物感満載の男です。さもありなん。
「血蝙蝠」
間違って殺された女優さんが不憫でならない。
横溝の書く女優にしては、純情で一途だが作中では一言も喋らずに殺される被害者役。
(それでか)犯人のサイコパス度に嫌気が来る短編。
「八百八十番目の護謨の木」
880番のゴムの木と思っていると、まったく意味が通じなくなる話。
(kindle読み上げ機能だとそう聞こえるので意味が通じないのだ)
死の寸前に自らの血で書かれた文字、ダイイングメッセージ(!)もの。
つい最近も似たような話を有栖川有栖で読んだけども、漢数字で八八〇 と書くと・・・別の文字に見える!というやつ。
いわゆる、推理小説家の王道なんだろうなぁ。
本当の警察官に「あなたはダイイングメッセージをみたことありますか?」という質問してみたい。
「二千六百万年後」
まさかの、SF。まるで藤子不二雄のSF短編のような話である。
肩甲骨が発達して飛翔ができるようになった人類。「飛べない人類が昔いたというが本当だったのか!」と逆に驚かれてしまうのだ。おもしろい。
他にも「X夫人の肖像」「恋慕猿」「物言わぬ鸚鵡の話」の三編についてはつい最近読了したばかりだというのに、すでに記憶にない。
サルとオウムときたので後は犬が欲しいところである。
表題は英語に直訳してみただけだけど、バッドマンといえばこちらもおすすめ
とりあえず歴史に少しだけ詳しくなる、学習マンガの一面も!?