iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「魔眼の匣の殺人」はワトソンが語り部から主役になった話だ

映画化で話題だった「屍人荘の殺人」の続編、「魔眼の匣の殺人」を読んだ。

 

魔眼の匣の殺人

魔眼の匣の殺人

  • 作者:今村 昌弘
  • 発売日: 2019/02/20
  • メディア: 単行本
 

 

その日、“魔眼の匣"を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた直後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ第二弾。

 

こいつの続編ね↓

shijinsou.jp

 

映画は見てないけど予告編のポップさにちょっと驚いた。別物?

でも葉村君役の神木隆之介がいいよね!さすが部下にしたい芸能人NO1!(そんなのがあるのか知らんけど)

 

この話、いわゆるワトソンが主人公の話。

今までの古今東西ワトソン役は「語り部」で、主人公はあくまでホームズだったけど、

葉村君はちょっと違う。

 

語り部であると同時にこのミステリーの主人公なのだ。

ふがいないところ、悩みや屈折もあり、そして2作目では恋心もあり。

 

ここからは2冊目の「魔眼の匣の殺人」の感想。

 

まず、「外れることがないという予言者サキミ様」という超能力が出てくる。

前回も、ほにゃららとミステリのマリアージュと言われていたが、2冊目は超能力とミステリの融合。

 

たいがいこの手の取り合わせは「とんでもミステリ」と言われてしまうことが多いが、綱渡り的に成功しているところがすごいのだ。

 

絶対に外れることがない予言者が「あと二日で4人死ぬ」といったクローズドサークルに放り込まれたら人間はどうなるか?が描かれている。

 

しかも、一本しかないつり橋が燃えて渡れない!というもう、べたべたの展開。

(何回も見たな~コナンとか金田一少年とか、何ならガラスの仮面でも燃やしてたわ)

 

しかし、その展開をしっかり認識して

 

「この状況で殺人を起こせば、救助が来たときに警察の捜査ですぐに犯人が分かってしまうではないか。それでもなお殺人を犯すのはなぜか?」

 

という論理で進んでいくので、ここはちっともベタじゃない!

 

結局、前作で大きな謎として残された「斑目(まだらめ)機関」や「剣崎比留子の生まれ持った何か」についての解明はほとんど進展がなかったので、さらに続巻が出るのだろう。

 

それにしても、このシリーズ一番最初に主人公だと思い込んでいた明智君がいなくなってしまったことがすごく惜しいと思う。

彼を慕っていた葉村君だけでは無く、なぜか読者にも喪失感を味合わせ続けている明智君。

 

もしかして、復活のワンチャンあるかも!?

 

あ、こんなものが出ていた。やっぱり明智君忘れがたい!

 

 

話題作かつ、ネタバレ厳禁系なので(特に屍人荘の殺人の方は)誰かにばらされる前に読むことをおススメします!