iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「迷路荘の惨劇」美しい見た目に美しい心が宿るとは限らない

横溝正史の「迷路荘の惨劇」を読んだ。

 

金田一耕助ファイル8 迷路荘の惨劇 (角川文庫)

金田一耕助ファイル8 迷路荘の惨劇 (角川文庫)

 

今回の話、またしてもと書いたら失礼か「迷路のように入り組んだ洞窟」が出てくるのである。

先代を殺したとされる犯人が逃げ込んだまま行方知れずになっているその洞窟を中心として話は進むのだが、金田一の昔からの知り合い、譲治青年とたまっぺという若い二人の登場は微笑ましいが、それ以外は先代からの因果が応報しまくっててどろどろの人間関係。

しかも中心になっている、迷路荘の党首一家の名前が何縛りだというくらい「んど」「んど」言ってるので、人間関係を掌握するのに一苦労。

ウィキペディアよりコピらせてもらいました↓

 

  • 古館種人(ふるだて たねんど) - 明治の権臣・元老・伯爵、名琅荘の創始者明治45年に死亡、享年68。
  • 古館一人(ふるだて かずんど) - 種人の息子、伯爵。昭和5年に後妻の加奈子と尾形静馬を殺そうとするが、静馬の返り討ちに遭い死亡する。
  • 古館加奈子(ふるだて かなこ) - 一人の後妻。昭和5年に一人に殺される。
  • 古館辰人(ふるだて たつんど) - 一一人の息子、元伯爵。母は加奈子ではなく父の先妻。旧華族のなかでも有名な美貌のもちぬし。

 

~んど、ってついている古舘一族のじじ、父、息子の三大にわたる因縁がここにきて爆発するわけです。

登場人物の中でも特筆すべきは「お糸刀自」

刀自(とじ)ってなんだ?という方のために、説明すると(私も知らんかった)

刀自・・・中年以上の婦人を尊敬して呼ぶ語。

えーっと、じゃ私も刀自なのか?おばあさんのイメージだったけども。

 

とにかく、糸という名の老女がいろいろすごいんですわ。以下ネタバレになります。

実は、コミカライズのほうを先に読んだのですがこのインパクトのある絵をご覧あれ。

 

 

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 滑車を利用すれば力のない老女でも大の男を殺せますという、理科の実験のような話でもあるわけです。

あ、でもこのネタバレは一部でして。犯人も被害者も何なら犯行の計画者と一次実行者、2次実行者が違ったりしておりますのでこの絵を見ても十分楽しめることを保証します!

 

いよいよコロナの脅威が身近に迫って来て、こんな時は本読むしかないよね!という方にオススメ!

 

 

横溝正史の絶筆「悪霊島」

絶筆ということを初めて知ったこちら「悪霊島」 この表紙痺れるわ~

悪霊島 (1980年)

悪霊島 (1980年)

 

アメリカ帰りの億万長者から人探しを依頼され、岡山を訪れた金田一耕助は、久し振りに会った磯川警部と旧交を温めた。だが、それも束の間、警部の話から金田一の尋ね人が謎の言葉を残して怪死したことを知る。さらに依頼人越智竜平が、出身地の刑部島に建設中の一大レジャー施設をめぐり、島の人々から反感を買っていることを知って、金田一は前途に不吉な事件の予兆を感じるが……!?

 

なんといっても、集大成・オブザ・横溝!で、閉鎖された島での因習、怪しすぎる美女、美しい双子の姉妹・・・そして何より岡山!これ以上ないくらい、横溝っぽい。

 

余談だが、私の中では岡山は「ホラーの本場」

岡山弁イコール暗いヨ怖いヨだ。

それはやはり、横溝先生とこの方の功績だろう。

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

 

これ読んだのはかれこれ20年くらい前の気がするが未だに

「怖いやんか!ばか!」と思うくらい怖かった。内容より感情しか残らない衝撃の読書体験。

 

続きを読む

kinndleunlimited 三ヶ月99円になったよ

どうやらまた、kindled unlimitedが爆安になったようで、どうやら私も対象のようなので対象者はボタンが表示される、まんまとズブズブとまた沼にハマることにした。

 

で、とりあえず週末読んだのはこれ。

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

ぼくらのへんたい(1) (RYU COMICS)

 

ずっとどんな話を描く漫画家か興味があったふみふみこさん。

ほうほう、そういうことですか。ジェンダーとかそういうのを考えさせられる作品。

残念ながら一巻以降は有料

 

ライオンブックス 1

ライオンブックス 1

 

この作品、あんまり有名じゃないよね?なんでだろう、ショートショートでどこからでも読めるしどの話もなかなか面白かった。

特定の主人公はいないので語られにくいのかな?

 

応天の門 1 (BUNCH COMICS)

応天の門 1 (BUNCH COMICS)

 

 

話題になってたけど、なぜか勝手に中国の話だと思っていた。

菅原道真の話だった。あの、我らが福岡の観光名所、太宰府天満宮の。

これがまた、クソ性格の悪い天才としていい感じに描かれています。謎解き要素もあって、バディにはモテ男で有名な在原業平?が投入されています。

いや、これ面白い!続きが気になってしまう。

 

漫画 屋根裏の散歩者

漫画 屋根裏の散歩者

 

こちらは、江戸川乱歩のコミカライズ。

ひっそりこんな漫画もあるんだねー

内容は忠実にしかし、絵柄は大胆に、ってところかな。

きっとファンなんでしょうね。しかし、ちょっと人を選ぶ絵柄かも。

明智小五郎は端麗な感じで描いて欲しい。

 

理想はこんな感じなんだよねー 明智五郎なんだけど。

 

で、話がずれるけど美食探偵といえば喰いタン。意外と面白くてハマるのよ。

 

 

 

 

わからんの快感「ドグラマグラ」

やっとようやくなんとか読み終わったドグラマグラ

日本三大奇書の一つと言われているこの本。過激な表紙が有名。

そ、そんなところに角川文庫って入れちゃう?いいの!?

 

大学生に時に一度挫折したのだが、読めないけど読んでくれたらいけるかも、と思いkindle読み上げ機能で再チャレンジ。

結果はですね、ズバリ惨敗に近い。一応最後までは行ったはいった。もう読んんだという単語を使うのもおこがましい。

 

が、もう私の人生でドグラマグラはもう読みおわったことになっている。

お前はもう死んでいる、ですよ。

 

しっかしほんと難解!読み終わったら精神に異常をきたすと言われているこの本は、ネタバレをしようにもあらすじを紹介しようにも、何一つ説明できん!

 

で、映像やらコミカライズされたものに頼っちゃえ!

 

ドグラ・マグラ ─まんがで読破─

ドグラ・マグラ ─まんがで読破─

 

 

むーん。マンガになってもわからん!

 

ドグラ・マグラ [DVD]

ドグラ・マグラ [DVD]

 

こちらは80年代の映画。

あの桂枝雀師匠が主役。先ほど予告篇だけみたけど、この話をどうやって2時間にまとめるんだ?天才か?

 

あまりの読み終わりのスッキリしなさに、いろいろ検索してみると、みんなよくわかってないっぽい!

(失礼か!)

 

結局この脳髄を掻き乱されるような、メタな構成の浮遊感を味わえばいいのかなー

 

にしても、読み上げの中の人は生真面目にチャカポコチャカポコ、きっちり私の耳の中に語りこんでくるので、少々へんな気持ちになる。

 

?も「疑問符」って読むもんだから、ぎもんふぎもんふぎもんふぎもんふ………ってな感じでやられる。

お経か。

 

と、とにかく積年の積ん読を崩してようやく読んだもんね!あらすじの紹介すらできないけどね。

これで日本三大奇書の戦績は2勝一敗であります!

 

 

日本三大奇書とは…

 

夢野久作ドグラ・マグラ』、小栗虫太郎黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』の3冊。

ちなみに負けてるのは黒死館殺人事件

虚無への供物は相当面白かった。もちろん内容はすっかり忘れているが。

 

黒死館殺人事件
 

 

新装版 虚無への供物 上・下巻セット
 

 

黒死館殺人事件ドグラマグラ青空文庫で読めるので、まあ一度は読んで見ても損はない。(名物にうまいものはない、ともいうけどさー)
そもそも、奇怪な書の時点で褒めてないよね?

 

 

 



さわやかな読みごたえ「踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿」

 kindleunlimitedで読める国産ミステリー

主人公は引きこもりの音野順くん(おそらく20台半ば?)

推理小説家の私とバディを組んで謎を解き明かします、というと聞こえはいいけれど、何しろ引きこもりなので、人が苦手。

 

謎は僕が解き明かす!かもしれません・・・っと、名探偵のいいところが残念ながら尻すぼみ・・・

しかし、同じものを見ているはずの私や警察には解けなかった謎を音野君は最後はきちんと解き明かします。

 

私こと推理小説家の白瀬白夜が、とにかく音野君を高く評価していて見ていてちょっと萌えますが、ユーモアにまぶして事件の謎は意外と本格的なミステリ。

 

いろんな名探偵がいるけれど、現場にお弁当を持参してみんなにふるまう探偵っていうのはめずらしいかも・・・

結構殺人事件とか起こってますが、なぜかさわやかな印象を受けた。

踊るジョーカーを含む5編の短編集。

 そして案の定、コミカライズされている模様。

 うーん、大昔からホームズとワトソンのように名探偵とその記録者という組み合わせに胸をときめかせる人は多いようで・・・

しかも、イケメン(多分)の二人ならばそりゃ~読みたい!

 いわゆるバディものが大好きな方におススメ!

最近読んだ本「春琴抄」「金田一少年の事件簿 天草財宝伝説殺人事件」「書評記事の書き方」「秋津」

 週末は福岡はとても良い天気で、子供と一緒に所属しているボーイスカウト隊で凧揚げをしてきた。そこそこ風があってよく飛んだので面白かったんだけど、久しぶりの紫外線に対策を怠ったため腕が日焼けでえらいことに。

これ、鳥みたいだけどごみ袋で手作り。

 

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さて、さわやかな写真を貼ったところところで、もはやジャンルも何もめちゃくちゃだが忘れてしまう前に最近読んだ本を書き留める。

 

まずは文豪に敬意を表してこちら。

春琴抄 (新潮文庫)

春琴抄 (新潮文庫)

 

 有名であらすじは知ってたものの、初めて読んだ。

春琴と佐助のかなり形を変えた純愛。特に後半の顔にやけどを負った春琴を「見ない」ために自ら目をつぶし「幸せ」と言い切る佐助。その描写がちょっとグロすぎて目が泳いでしまったが。

目が見えないということはどういうことだろうか?想像するしかないが、視覚を補うかのように他の感覚が研ぎ澄まされて、別の世界が広がっているのかもしれないと思った。

 

 

BlogArts: 書評記事の書き方

BlogArts: 書評記事の書き方

 

 

せっかくこんなブログを書いてるので読んでみたが、私の書いているこのブログはいわゆる書評とはとても呼べない。ということがわかった。

えーっと、門をたたこうと思ったけど、まだ最寄り駅にすら到着していないくらいの距離感。

 

金田一少年の事件簿File(22) (講談社漫画文庫)

金田一少年の事件簿File(22) (講談社漫画文庫)

 

 天草財宝伝説、と言えば九州の小学生なら誰でもそらんじることができる(大嘘)例の奴ですよ。

 

私が小学生の時は教科書にこの秘密の暗号が載っていて、「みんなで宝探し探検隊を作ろうぜ!」ってなったのは本予期思い出。

もちろん、大判どころか現地に行ってもないけど。

天草四郎のビジュアルにも興味津々だった。

 

さて、金田一少年ったらとうとう「さんしゃるに こんたろすご くさぐさのでうすの 宝しずめしずむる」(小学生のころ覚えたことはまだ忘れてない!)の謎を解いてしまったようです。さすがやん。そんなに簡単に解かないでよ天才かよ

 

 

秋津 1 (HARTA COMIX)

秋津 1 (HARTA COMIX)

 

 古本屋でどうしても気になって買った本。このタイトルがどうしても引っかかってついつい手が出た。

内容はどう説明していいのか・・・?

 

ギャグ漫画なんだけどちょっとだけ寂しくなるというか、何とも言えない空気感。

主人公はざっくりいうと「ダメ人間な漫画家の父」と「しっかり者の息子」。

無茶苦茶な父親が息子を「かわいさ余っていじり倒す」ところとか、漫画が描けなさ過ぎて悪あがきをするところとか、ほんと振り切れてて面白い。

 

本屋と図書館のパトロール。と、新元号

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新しい元号が発表されて盛り上がりましたね。

 

わが町の図書館(福岡市なみきスクエア)では、平成を振り返る特集をしていました。

 

いろんな平成を象徴する本を集めた棚を作っていて、右側は来館者の「平成」エピソードを書き留める掲示板・・・

 

私にとっての平成ってなんだろう~

 

正直腰掛け気分のまま突入したけど気がつけば人生の半分以上が平成。

平成生まれではないけど、平成育ちではあるのか~新しい元号をちゃんと使いこなせるか心配である。

  

年号なんて、仕事には使わなければいいのにと常々、ぶーたれておりましたがいざ発表の時は、職場のみんなでかたずを飲んでテレビを囲みました。

 

なんとも言えぬ一体感。その後の号外の奪い合いもすごかった。

元号なんて特に意味もないと思っていたけど、その無駄を楽しめることが文化なんだな~

  

新元号(発表)の熱狂を見て「不合理で特殊だからこそ文化なのだ」との司馬遼太郎の言葉を思い出す話 - INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

 

こういう記事は、普段ぼんやりしている目を開かせてくれるので素晴らしい!

 

 

さてこちらは、先週行ったタワレコ(博多KITTE)の本屋さん。

 

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全国書店員が選んだオススメコミックランキング。

 

ゼロの日常、ミステリと言う勿れ、犯人の犯沢さん だけ読了。

 

我ながらものすごくアンバランスだが、コミカルとミステリ要素が絡んでいるのがものすごく大好物らしい。

 

(うち2つはコナンのスピンオフ。かなり広い範囲でのミステリ要素)

 

 

その中でも、イチオシの「ミステリと言う勿れ」はおすすめ!

この頭はブロッコリをかぶっているわけではなく地毛らしい。

 

そして、彼は論理的に謎を解決できる探偵脳(by それでも町は廻っている)を持っている男なのだが、だからといって誰からも尊敬はされない。

 

それどころか、ほとんど何いってんだこいつ扱い。

 

ほんとにいいことをちらっと言ったりもするのだが、いかんせんいろいろなことを言ってるせいで、埋もれてしまっている。

そこがいいのだ。

 

めちゃくちゃ9位推しをしたけれど、2位の極主夫道と、11位の来世は他人がいい

 も気になる~

極主夫道 1 (BUNCH COMICS)

極主夫道 1 (BUNCH COMICS)

 

 

 

 

 

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ブログを始めてから、本屋の棚をよく見るようになったのだけどほんとに、いろんな工夫が凝らされていて楽しい。

出版禁止、掲載禁止、からのぉ「未読禁止」。

出版禁止 (新潮文庫)

出版禁止 (新潮文庫)

 

 内容(「BOOK」データベースより)
著者・長江俊和が手にしたのは、いわくつきの原稿だった。題名は「カミュの刺客」、執筆者はライターの若橋呉成。内容は、有名なドキュメンタリー作家と心中し、生き残った新藤七緒への独占インタビューだった。死の匂いが立ちこめる山荘、心中のすべてを記録したビデオ。不倫の果ての悲劇なのか。なぜ女だけが生還したのか。息を呑む展開、恐るべきどんでん返し。異形の傑作ミステリー。

 

面白そうやんけ。


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最近、もっぱらAmazonだわ~という方へ。本屋いきたくなったでしょ~?

 

全国の書店員さん!いつもありがとうございます。