山岸凉子の「白眼子」を読んだ。
戦後の北海道の市場の片隅で、てっきり捨てられた思われていた少女光子は、卓越した能力者の「白眼子」と呼ばれる盲目の男に拾われて育てられる。
可愛げがないなどと言われながらも、白眼子といっしょに住む加代という女性と三人でくらし、それなりに愛されて成長していく。
ところが中学生のころに本当の祖母と巡り合い、ちょっと会いに行くつもりが、そのまま白眼子と加代と引き離されてしまう。
激しい感情の動きが合ったわけでもなく、このままあえなくなるとは思ってもいなかったのにズルズルと生活にまぎれて二人を忘れていく光子。
なんというリアリティ。なんだかすごいものを読まされた気がする。
この話を山岸凉子は、イチから頭の中で作ったのだろうか?
本当に光子がいて聞いて書いた話なんじゃない?
思わずネットで「北海道 戦後 白眼子」で検索しそうになるが、いやだめだ。
この世界と私の今の世界を繋げてはいけない。
この人のマンガって、ときに怖いくらいこの世界のいま一歩先を描き出している時があって、この白眼子もそのうちの一冊だった。
白眼子と呼ばれる人は盲目の男性である。
彼曰く目が見えない代わりに、他人には見えないものを観る力を授かったらしく、写真をみただけでその人の生死がわかったり、夢の中に会いたい人を連れてきて会わせてあげることもできる。
育ての親の白眼子と加代から離れ、成長し母親になった光子は白眼子の危篤を知りようやく再会することができるのだが、そこで彼が何故彼女拾い、養おうとおもったか、何故光子と名付けたかが語られる。
盲目の彼には彼女のことが光の塊として見えていたのだ。
消えそうだった光子の命を救った男は柔らかに微笑みながらそう語る。
その言葉を聴き、不思議な世界というのはあるのだとじわっと納得できてしまう。
いや、やっぱり天才かよ、山岸凉子!!
貴方がまだ知らない、この世の不思議と、そして真実!!
戦後間もない北海道小樽で見知らぬ男に拾われた少女。彼女はそこで常人には知る事のできない世界を垣間見て暮らす――(「白眼子」)。表題作に加え、謎の転校生が日常を侵食していく中編「二日月」の全2編を収録。
次に読みたい本
白眼子とは全く関係ないけど、講談社のミステリーがkindleunlimitedに大量にでていたて、その中に記憶の琴線ふれるものがあった。
どこかで誰かが推薦してたんだよねー。まあ、読めばわかるか~