西條奈加の心寂し川を読んだ。
これで、裏寂し川、と読む。
「誰の心にも淀みはある。でも、それが、人ってもんでね」
江戸の片隅、どぶ川沿いで懸命に生きる人々の哀しみと喜びが織りなす感動連作。江戸、千駄木町の一角を流れる、小さく淀んだ心淋し川。そこで生きる人々も、人生という川のどん詰まりでもがいていた――。悪戯心から張形に仏像を彫りだした、年増で不美人な妾のりき。根津権現で出会った子供の口ずさむ唄に、かつて手酷く捨てた女のことを思い出す飯屋の与吾蔵。苦い過去を隠し、長屋の住人の世話を焼く差配の茂十……。彼らの切なる願いが胸に深く沁みる、第164回直木賞受賞作。
いやー良かった!
そっか、これは直木賞受賞作なのか。
淀んだ川沿いにある貧しい長屋の住民と、差配の茂十を軸にした連作。
こんなところにふさわしくない、学のあるところを見せる差配のほんとうのすがたとは?
ミステリーという訳ではないが、最後の話で、彼の正体がわかる時は、切なかったー
それから、母親の話が怖かった。
子供を巣立たせることが出来ない母親、いつまでも自分の庇護のもとに置くために嫁と張り合う姿は、はたから見たら滑稽通り越して、気味が悪いけど、多かれ少なかれ私にもあるのかもしれない。
次に読みたい本
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