榎田ユウリの「妖奇庵夜話 その探偵、人にあらず」の「空蝉の少年」を読んだ。
ちょいと気軽なものを読みたい!と思って手に取ったが、思った以上に長くて(全10巻)およよ、と思っている私だ。
妖怪のDNAを持つ「妖人」が存在する現代日本を舞台にしたキャラクター小説。
妖怪と妖人の違いについてなどなかなか細かい丁寧な説明があって、すっと頭に入ってくる。
主人公の洗足伊織は、人と妖人を見分ける能力を持つ茶道家で、お茶を立てているところはほとんど描写されていないが、帯には「茶人探偵」と書いてあった。
ただ、洗足伊織の属性はどちらかと言うと「妖人」で「イケメン」でちょっと訳ありの「碧眼の美丈夫」。
ほかにも「気むずかし」屋で「毒舌」という特徴もある。
この世界で妖人は人間とほとんど区別がつかないが、DNAが一部異なっている。
例えばかっぱの妖人遺伝子を持つ妖人は水泳が上手だが頭に皿があるわけではない。
人間と区別がつかないが、一部の職業にはつけないなどの差別されており、警察にも妖人対策本部という部署がある。容疑者が妖人の事件を調べる部署だ。
この妖人対策本部に配属された脇坂というちょっと(かなり)抜けた新米刑事が彼のところに捜査協力をお願いしに度々顔を出すのだが、この脇坂にたいする立板に水のようなこき下ろしが面白い。
「昨日も馬鹿、今日も馬鹿、明日も馬鹿のフォーエバー馬鹿」
うーん、これはいつか誰かに言いたい。
こんな調子だが、洗足は脇坂が結構気にいいているのだ。
登場人物はほかにも「小豆とぎの特性を持つ妖人」のまめ君とか、「管狐の特性をもつ」家令のえびすなどなど、ストーリーだけでなくキャラが面白い。
この物語、主要登場人物はほぼ男性である。そしてこの美麗なイラストは中村 明日美子だ。そりゃあ人気が出るはずだ。
まだまだ、物語は続きそうなのでぼちぼち追いかけまーす。
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