「買いなさい。損はさせないから」話題騒然の表題作。「ペルシャ猫の謎」。血塗られた舞台に愛と憎しみが交錯する「切り裂きジャックを待ちながら」、名バイプレーヤー・森下刑事が主役となって名推理を披露する「赤い帽子」など、粒よりの傑作集。〈国名シリーズ〉第5弾、火村・有栖川の名コンビはパワー全開!
本格的なミステリというより、エッセイとの中間のような「小品」というイメージの作品が多い。収録は以下の7つ短編集。
表題作「ペルシャ猫の謎」
双子の片割れか、ドッペルゲンガーか?殴られた上にいいとこなしやなー笑しかし、同じ顔で性格が全く違う、弟はモテる、ってあのであればやはり、明るさとか人当たりは造作以上の意味を持つことにならないか?
「暗号を撒く男」
殺された男の家には、意味不明のものがたくさんばらまかれていた。
普通こういうことは、犯人を指し示したりするものだが、まさかのモテたくてやったこととは。火村先生ががっくりしちゃうのもわかる。
「悲劇的」
火村英夫の初の小説?と、言っても彼がやったのは学生のレポートの採点だけど、最後の一文のおかげで、悲劇的な叫びが星新一風の時ショートショートに還元されている。
「切り裂きジャックを待ちながら」
作中、「ゴドーを待ちながら」の話が出てくる。聞いたことはあったが全く内容を知らなかった。不条理劇なんですってね。 観てみたいけど、ミステリのような、すっきりしたものが好きな私には合わないような気がする。
ちょっと怖い漫画「リウーを待ちながら」もここからとってるのかしらね。
でもリウーは、ペストに出てくるリウーだよね。どちらにしろ、このコロナを予言するかのような漫画で怖くて二巻が読めない。
「赤い帽子」
名バイプレーヤー・森下刑事が主役となって名推理を披露する。お洒落デカ森下が、アルマーニのスーツを着る理由が語られている。単なる見栄坊じゃなかったか。森下刑事が好きになってしまう一編。
「わらう月」
北半球と南半球、月のかかる方向が違うんだ!知らなかったよ。中学理科で習ったはずだけど。
「猫と雨と助教授と」
酒と泪と男と女みたいなタイトルだが、これは昭和の流行歌ではなく、谷崎潤一郎の猫と庄造と二人の女、からいただいたタイトルらしい。