アガサ・クリスティーの「ホロー荘の殺人」を読んだ。
ポアロって、こんなにロマンティストだったっけ?だったか。
今回もまさかの犯人だった~何回読んでも犯人が当たらないわ。
物語は医師であるジョン・クリストゥが殺害されるところから始まる。
ポアロはちょうど食事に招待されたときに事件に行き合わせるのだが、「名探偵ぶりをあてこすった趣味の悪い冗談」かと思ってしまう。
どうしてもこの事件に「演劇的」な匂いを嗅ぎ取ってしまいなかなか真犯人にたどり着けないポアロ。
理由の一つは容疑者が多すぎるのだ。まず殺されたジョンに妻の他に「昔の女」と「今の女」が一同に集まっている。
従順だがグズの妻、美しいが暴君女王様のような元恋人ヴェロニカ、芸術家の今の愛人ヘンリエッタ。だれもがジョンに殺意を抱いてもおかしくない。
ジョンは、妻に辛くあたったりと最初は結構嫌なやつなのだが、医師としての実績も高く、話が進むにつれ、初っ端に殺されるには惜しい人だったことが語られる。
正直ジョンがいろいろやっちゃってるので、「えー犯人この人??」とはならない。ただ、さすがクリスティ!とやっぱりいいたくなるのだ。
「そんな事言う人でしたっけ?」と言われたポアロは
「さあ、私が外国人だからきれいな言葉を使いたがるのかもしれません」
なんて、サラリと返す。
そんなこと言われたらポアロ株上がりますわ~
ちなみに、この芸術家のヘンリエッタは彫刻家で作中で作っている彫刻は日本人みんなが大好きな「ナウシカ」。
でもジブリのナウシカではなく、ギリシャ神話の有名なキャラクター名なのだそうで知らないせいで無駄にワクワクしてしまった。
ロマンス体質(浮気体質とも)のジョンのせいで、いくつもの愛情と嫉妬のエピソードが差し込まれるのだが、事件とは全く関係のないエドワードとミッジの二人の恋愛のほうが「いかにもシンデレラストーリー」で微笑ましく素敵だった。
盛りだくさんの内容で、ミステリー要素はかえって薄まり人間の心の機微にふれる「ドラマ」の部分が強調された一冊。
アンカテル卿の午餐に招かれたポアロを待っていたのは、血を流している男と、その傍らでピストルを手にしたままうつろな表情をしている女だった。それは風変わりな歓迎の芝居でもゲームでもなく、本物の殺人事件だった! 恋愛心理の奥底に踏み込みながらポアロは創造的な犯人に挑む。
次に読みたい本
そろそろ、クリスティについてちゃんと知りたい。