iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

ゆーだんとめーだん「幽談」と「冥談」

 先日のkindleのフェアでゲットしたこの2冊。

想えば京極堂シリーズをむさぼるように読んでいたのはもう20年以上前なんだなぁ

ずっと追いかている作者さんですがこのシリーズには手が出てなかった。

 

どういう話かというと、創作実話系怪談。矛盾してるって?でもそれしか説明できない!

 

ちなみに、これどちらもkindle読み上げで歩きながら聞いたもんだから、ずーっと耳元で語り落される感じで、歩けば歩くほど話に入り込んでしまう。

あんまり続けると精神的に変調してしまうかも、と思いました。

怪談って耳で聞く文学にはうってつけな気がする。(要するに怖かった・・・)

幽談 (角川文庫)

幽談 (角川文庫)

 

 以下8編の短編。

 

どれもこれも、これから発狂する人間の思考をなぞるように語られる。まさに、一話読み終わる間に正しいもの、正常なものと考えていた自分の周りの箱が変形し、上下左右が分からなくなるような心許な差を感じる。

 

手首 を 拾う

ともだち

下 の 人

成人

逃げよ う

十 万年

知ら ない こと

こわい もの

 ・・・この中では特に「成人」という一編が怖かった~

 

冥談 (角川文庫)

冥談 (角川文庫)

 

 以下の7編。

 

 

庭 の ある 家

冬 凮 の 橋

遠野物語 より

空き地 の おんな

予感

先輩 の 話

 

この中では「庭のある家」が怖かったな~

久しぶりに友人の家を訪ねると、家に上げられしばらく雑談をした末、おもむろに「では医者を呼びに行く」という。「なに、今ちょうど妹が死んでしまったところだったのだ」という。すまないが、留守居をたのむ、とその友人は出ていく・・・

一瞬ありそうな何でもないことのように語られるが、ない。そんなことは普通はない。さらにそのあと、死んだはずの妹がお茶も出さずにすみません、と出てくる。え?何どういうこと、友がくるっているのか?妹は生きているのか?

曖昧模糊として何の決断も出ずに物語はスパンと終わる。

 

そう、どれもこれも落ちらしい落ちがなく、ぉおい、ここでおわるのか~い!とつっころびそうになる。

 

実はこのシリーズ続きがあるらしい。

しばらくは怖いから読まない。夏になったら読もうかな~