伊坂幸太郎さんの「魔王」が文庫化されたそうです。(それどころか漫画化もされているようです。)
私にとっては今まで読んだ事ない伊坂幸太郎!って感じでした。読後のさわやかさとか幸福感より、なんか言い知れぬ不安感がのこるというか・・・
なんというか、考えさせられることの多い内容でした。
憲法9条についてとか、ファシズムについてとか。全く関係ないよというか、全く思考を停止している部分にスポットが当てられていて、
それを、
考えろ、考えろ、と考えてきた俺と、全く関心がないんだ~と思っていた詩織ちゃんたちの物語。
結局、この物語で魔王は誰なんだろう?
詩織ちゃんは、前半俺の弟、潤也の彼女であります。前半の純也と俺の掛け合いも面白いし、ちょっと不思議な超能力や、魅力的な脇役がたくさん出てくるのです。
このお話は、考えろ考えろ!と自分に言い聞かせる俺の強さに少しはあやかれそうな、不思議な物語でありました。
魔王 (講談社文庫 い 111-2) 著者:伊坂 幸太郎 | |
魔王 1―JUVENILE REMIX (1) (少年サンデーコミックス) 著者:伊坂 幸太郎 | |
それから、ベストセラーの東野圭吾の「さまよう刃」も読みました。
これも、現行の少年法について考えさせられる物語。読みながら今さならながら光市の母子殺害事件をおもいだしました。
内容は娘を殺された長嶺が、犯人の少年を知り殺害してしまう。もう一人の少年を殺すべく長嶺は逃走する・・・
自分の子供が殺されたら、あだを討ちたくなるよなぁ・・・しかし、法が守っているのは犯人だ!という説には納得。
この本を読めばさらにあの本村さんの強さをたたえたくなります。彼は犯人を許さないのは当然のこととしても、ちゃんと現行の法の中で罰を与えようと力を尽くしているところがすごい。
メディアにでれば叩かれることも多いだろうし、例えばまだ若い彼が再婚して新たな大一歩を踏み出そうとしてもすごく反感をかうのではないでしょうか。
鬼の首をとったようにインターネットの世界でこき下ろされるような気がします。
彼はこれからの平凡な幸せを亡き妻と子のため他の犯罪被害者のために使っているのでしょう。(でも、幸せなってほしいなぁ。)
私だったら短絡的に犯人を殺したいほど憎みつつも、犯人は塀の中でなすすべなく黒焦げになるだけのような気がします。
さまよう刃 著者:東野 圭吾 | |