青春デンデケデケデケが直木賞を受賞した、芦原すなお
以前読んだミミズクとオリーブが面白かったので手に取った。
上質の安楽椅子探偵だったし、季節感あふれる料理の描写にも
ためいきとよだれが出た。
で、この本はというとやはり主人公は、バイオリニストの
奥さんに逆さ三行半を突きつけられた中年の作家がなんとか
心機一転がんばろうとするが、
親友のお骨が話しかけてきたり、初恋の人と再会したり、
すでに新聞連載を引き受けるような作家のくせに
小説はじめの一歩なんでカルチャースクールを受講したり、
ながしの医者から治療されたかと思うと、
最後はきれいな女の人に見とれて車にはねられ、
生死の境から犬に引かれた夢をみて息を吹き返すと。
とにかく、はちゃめちゃな感じで物語が進んでいく。
途中、作者自身も出てきておなかが痛いので娘に代筆をたのんだり、
(爆笑。一読の価値あり!)読者からの手紙に答えたりという部分も笑わせてくれる。
奥さん弓子の描写も強烈。タイトルのさんじらこ(とっちらかったという意味の方言)どおり
の、ミステリでもファンタジーでもない、なんかまとまりの無いお話であった。