iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

さんじらこ 芦原すなお

さんじらこ
さんじらこ
posted with 簡単リン クくん at 2006. 9. 1
芦原 すなお著
毎日 新聞社 (1998.2)
通常2-3日以内に発送します。

青春デンデケデケデケ直木賞を受賞した、芦原すなお

以前読んだミミズクとオリーブが面白かったので手に取った。
上質の安楽椅子探偵だったし、季節感あふれる料理の描写にも
ためいきとよだれが出た。
で、この本はというとやはり主人公は、バイオリニストの
奥さんに逆さ三行半を突きつけられた中年の作家がなんとか
心機一転がんばろうとするが、
親友のお骨が話しかけてきたり、初恋の人と再会したり、
すでに新聞連載を引き受けるような作家のくせに
小説はじめの一歩なんでカルチャースクールを受講したり、
ながしの医者から治療されたかと思うと、
最後はきれいな女の人に見とれて車にはねられ、
生死の境から犬に引かれた夢をみて息を吹き返すと。
とにかく、はちゃめちゃな感じで物語が進んでいく。
途中、作者自身も出てきておなかが痛いので娘に代筆をたのんだり、
(爆笑。一読の価値あり!)読者からの手紙に答えたりという部分も笑わせてくれる。
奥さん弓子の描写も強烈。タイトルのさんじらこ(とっちらかったという意味の方言)どおり

の、ミステリでもファンタジーでもない、なんかまとまりの無いお話であった。