しをんさんが昔話を語りなおしたこの話。
現代の話が昔話になると言うことは、未来において語られると言うことだ。
第一話は祖父も父親も27歳で死んだのだから、お前も長生きはしないだろうと言い聞かされて育った27歳のホストの話。
私の脳内映像では見事に「新庄」として再編されかなりしっくり来てしまったが、いかがかな。
物語は3ヶ月後に地球に隕石がぶつかることが知らされた人々が描かれているのだが、小松左京の日本沈没のように、殺気立ったパニックはない。むしろ、3ヵ月後に自分達が死ぬと判っていても今の生活を変えるわけにもいかずに日常を送るタイプの人々が物語っている。
もちろん、周りにはパニックになったりやけくそになったりしている人がたくさん居るのだろうが、本人達はたんたんと時間を重ねていく。どうせ(いつかは)死んでしまうことは生まれたときから判っているのに、なぜ3ヶ月と期限を切られるとそんなにあせるのか?と言うようなことが「モモちゃん」の口から投げかけられる。
確かになぁ。明日私が生きていることは当たり前のことではない。ちょっとは自分にも人にもやさしくなれるかな。エッセイの抱腹絶倒さは無いけれど、よく練られたストーリーに感服しました。さすが才媛!
三浦 しをん著