葉真中顕の『家族』を読んだ。
とにかく登場人物が多い。(ということは、すなわち死人も多い。)なかなか重たい作品だった。
現実に起きた尼崎連続変死事件をモチーフにしたサスペンスで、「家族」と称して取り込まれていく被害者たちの心理の変化が空恐ろしい。
本作の導入では、事件が起こったペントハウス(豪邸)を購入する場面が描かれる。
そこで購入者の妻がこう問いかける。
「家族って、何だと思います?」
結局、この作品はこの一言に尽きる気がする。
血が繋がっていれば家族なのか。一緒に住んでいれば家族なのか。
事件の中心人物は夜戸瑠璃子。通称「ピンクババア」。
彼女は婚姻や養子縁組を利用しながら、「家族」という名の小さな帝国を作り上げる。
そこでは躾の名のもとに暴力が横行し、関わった者たちは少しずつ狂気の世界へ引きずり込まれていく。
暴力によって人間がどのように支配され、抑圧されるのかが克明に描かれていて、本当に恐ろしい。
被害者たちは常に監禁されていたわけではない。
その気になれば逃げることもできたはずだ。
それなのに逃げ出せず、あまつさえ「自分が悪いんだ」と思い込んでしまう。
瑠璃子に目を付けられた時点で、すでに詰んでいるのだろう。
彼女はまるで災厄そのものだ。
やがて一人の女性が逃げ出し、警察に訴え出たことで事件は明るみに出る。
だが瑠璃子自身の口から動機が語られることはない。
もちろん反省もしない。
そして現実の事件と同じように、最後まで何も明かさないまま自死してしまう。
それにしても印象的だったのは、瑠璃子の単独犯説を疑う警察官の存在だ。
「こんなひどい事件を女にできるはずがない。背後で糸を引いている男がいるのではないか」
・・・これはどう受け取ればいいのだろう。
男女差別だと怒るべきなのか。女性を見くびるな、と言うシーンか?
なんとも複雑な気持ちになる。
現実の事件も、結局すべての謎が解明されたわけではないのかもしれない。
試しにWikipediaで関係図を見てみたら、故人だらけで言葉を失った。
本当にやりすぎな事件だったのだと改めて思う。
冒頭の問いである「家族ってなんだろう」。
実は瑠璃子自身が答えを口にしている。
「一緒にご飯を食べるのが家族さ」
ここだけ抜き出せば、とてもいい言葉だ。
実際、彼女がまだ少女だった頃には、近所の子どもたちを集めてご飯を作ったり、小さな子の面倒を見たりしていた時代もあった。
しかし、その後に出会った腐った大人たちが彼女を決定的に壊してしまった。
あの出来事がなければ、彼女は有り余る母性を振りまく誰かのお母ちゃんになっていたのかもしれない。
だからこそ余計にやるせない。
胸が悪くなるような実際の事件を下敷きにしたクライムノベルである。
繊細な人が読んだら、しばらく引きずってしまうかもしれない。
それほどの破壊力を持った作品だった。
とにかく登場人物が多くて(ということはすなわち死人が多くて)重たい話だった。
現実にあった「尼崎連続変死事件」をモチーフにしたサスペンスで、家族と称して取り込まれていく被害者達の心情の変化が空恐ろしかった。
本作の導入に事件が起こったペントハウス(豪邸)を購入するシーンがある。
そこで購入者の「妻」はこう言う
「家族って、何だと思います?」
結局この一言に尽きる気がする。
血が繋がっていれば家族なのか?一緒に住んでいれば家族なのか?
事件の中心人物は「夜戸 瑠璃子」通称ピンクババア。
彼女は婚姻や養子縁組で複雑な「家族」という名の小さな帝国を作り上げる。
そこでは躾の名のもとに暴力が横行し、関わった者たちを狂気の中に陥れる。
暴力で人がどのように抑圧されるのかが描かれていてとても怖い。
被害にあった人たちは別に始終監禁されていたわけではない。
その足で逃げることもできたはずなのだ。
それなのに自ら逃げることはせず、あまつさえ「自分が悪いんだ」とまで思ってしまう。
瑠璃子に目を付けられた時点で既に詰んでいるのだ。
存在自体が「災厄」のような瑠璃子。
最期はとうとう、一人の女性が逃げ出して警察に囲む事で事件が明るみにでる。
だが、彼女の言葉で動機が語られることはない。もちろん反省もしない。最期は本当の事件と同様になにも白状しないまま自死してしまうのだ。
それにしてもとても象徴的だと思うのは「瑠璃子」の単独犯を疑う警察官の存在。
「こんなひどい事件を女が起こすはずがない。影で糸を弾いている男がいるんじゃないか?」
うーん、これってどんなもんだろう。男女差別だ!って怒るべきなのか。女性を馬鹿にするな、と怒るべきなのか。複雑な気持ち。
現実の事件も謎が解明しきれていないのかも知れない。さっきちょっとwikiで調べたら関係図が故人だらけでマジでやりすぎ!
冒頭の問い「家族ってなんだろう」に実は瑠璃子自身が答えている「一緒にご飯をたべるのが家族さ」ここだけ抜き出すと、良い話なんだ。
実際彼女がまだ少女の頃、近隣の子どもたちを集めてご飯と作ってやったり小さい子の世話を焼いたりしていた時代もあったのだ。
その時に腐った大人が彼女を決定的にダメにしてしまった。あの事件がなければ彼女は有り余る母性を振りまく誰かのお母ちゃんになっていたのかも知れない。
とにかく「胸が悪くなるような事件」を下敷きにしたクライムノベルである。
繊細な人が読んだらしばらく落ちてしまうかも、という破壊力がある作品だった。
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「家族って、なんだと思います?」
「現実の世界では、すんなり完全犯罪を
達成できてしまうこともあるんだって学んだんです」
2011年11月3日、裸の女性が交番に駆け込み、「事件」が発覚した。奥平美乃(おくだいら・みの)と名乗るその女性は、半年と少し前、「妹夫婦がおかしな女にお金をとられている」と交番に相談に来ていたが、「民事不介入」を理由に事件化を断られていた。
奥平美乃の保護を契機として、表に出た「死」「死」「死」…… 彼女を監禁していた「おかしな女」こと夜戸瑠璃子(やべ・るりこ)は、自らのまわりに疑似家族を作り出し、その中で「躾け」と称して監禁、暴行を主導。何十年も警察に尻尾をつかまれることなく、結果的に十三人もの変死に関わっていた。
出会ってはならない女と出会い、運命の糸に絡めとられて命を落としていく人々。 瑠璃子にとって「家族」とはなんだったのか。そして、「愛」とは。
「民事不介入」に潜む欠陥を日本中に突きつけた「尼崎連続変死事件」をモチーフとした、戦慄のクライムエンターテイメント!
次に読みたい本
実際の事件を下敷きにした小説といえばこれ。
木嶋佳苗事件
女性として生きるということ、についてどうしても考えてしまうすごい本。
あと、バターが美味しそうで、食べたら太る危険な本かも。
そしてこれも。
より記憶に新しい「安倍晋三事件」をモチーフにした本書。
正義とはなにか考えた。
そして、ノンフィクションならこちら。未読だがこちらも話題作だったみたい。

