真藤順丈 の「宝島」を読んだ。
第160回直木賞で、去年妻夫木聡主演で映画化もされていた。
神の視点の「語り部」が軽妙なうちなーぐち(沖縄方言、琉球語)で、語尾を伸ばす独特なイントネーションになんかゆったりした気持ちになる。
「あきさみよー」 嗚呼、とかなんてこったい!
「かふー」果報、ラッキー
「かちゃーしー」速弾きの踊り
そんな言葉が何度も繰り返されるので、耳というか、頭の中がどんどん沖縄のリズムになっていく。語尾を伸ばすような独特のイントネーションもあって、なんだかゆったりした気持ちになる。沖縄気分にどっぷり浸れる。…
だが、ストーリは戦後の沖縄の抑圧された庶民のままならない想いが描かれていて、語り口とは逆にその中身は重い。
つくづく私は沖縄の歴史のことを知らなかったなと。今でも基地の問題はニュースで時々取り上げられているが、通りいっぺんの知識しかなかったことをお詫びしたい。
もちろんこの小説を一冊読んで分かった気になられても困るだろうけど。
当時、沖縄と日本は別の国だったのだ。心の距離からして。
少なくとも沖縄の人から見た「日本」は「アメリカ」同様に信用できない存在だったようだ。
それを知って今の沖縄のニュース何かを見るとたしかに、沖縄を自分事として捉えきれていないかも。ちょっと反省。
物語は、ずっと「オンちゃん」という一人の英雄の帰りを待ちながら生きる、3人の若者の半生を描いている。オンちゃんが生きているのか、死んでいるのかも分からない。その曖昧さが、ヤマコ、グスク、レイの人生を少しずつ歪ませていく。
オンちゃんの恋人だったヤマコは、ある時「英雄がいなくなったのなら私が英雄になる」と独立運動に身を投じる。
親友だったグスクは刑事になり、情報を集めながらオンちゃんを探し続ける。
弟だったレイは身を持ち崩し、最終的には兄の仇とばかりにアメリカの基地を襲う「テロリスト」のような存在になっていく。
もしオンちゃんが生きていたら、おそらくヤマコと結婚して、3人とも仲良く平凡なご近所づきあいをしながら歳を重ねたのではないか。
たとえ死んでいたとしても、きちんと遺体が見つかってさえいれば、しばらくは落ち込んでも、やがてグスクかレイとヤマコが結婚していたかもしれない。
でも、いつか帰ってくるかもしれないオンちゃんのせいで、3人は歪すぎる三角関係のままフリーズしてしまう。
恋でも友情でも家族でもなく、かといって断ち切ることもできない。生きている人間より、いない人間の方がずっと強い力を持ってしまうことがあるのだなと思った。
「宝島」は、沖縄の歴史を描いた小説でありながら、喪失を抱えた人たちの物語でもある。失ったものを失ったと認められないまま生きることの苦しさ。誰かを待ち続けることで、自分の人生まで止まってしまうことの残酷さ。
物語の終わりは大きな「謎」に関わるので、私もネタバレはしない。でも、とても悲しい幕引きだった。軽やかなうちなーぐちの語りに乗せられて、気づけばずいぶん遠いところまで連れてこられていた。あきさみよー!
この作品はAudibleで聴きました。体験はこちらから!
\ 無料体験中でも12万冊以上が聴き放題 /
👉 Audible無料体験(Amazon公式)
リンク先:https://amzn.to/44JJJWy
しのびこんだ米軍基地で突然の銃撃。混乱の中、故郷(シマ)いちばんの英雄が消えた。英雄の帰還を待ち望みながら沖縄(ふるさと)を取り戻すため立ち上がる、グスク、ヤマコ、レイ。長じて警官となり、教師となり、テロリストとなった幼馴染たちは、米軍統治下の時代のうねりに抗い、したたかに生き抜こうとする。第160回直木賞、第9回山田風太郎賞、第5回沖縄書店大賞、三冠達成の傑作!
圧倒的熱量。
奪われた故郷を取り戻すため、
3人の幼馴染たちが米軍統治下の沖縄を駆け抜ける!
次に読みたい本
宝島、といえばこちらの児童文学が思いつきますが、
先ほどあらすじを確認したところ私これ読んでない事に気づく。
海洋冒険小説。流石に今読むのは遅すぎた。
読書には体に馴染む時期がある。
オンちゃん役は永山瑛太。


