方丈貴恵 の「少女には向かない完全犯罪」を読んだ。
多重夢といういうものをご存知だろうか。目が覚めて起き上がる夢を見るのだ。そしてふとした瞬間、あこれは夢だと気づき目を覚ます。
「あれあれ、目が覚める夢をみたよ」なんて思って面白がっていたら、またハッと目を覚ます。こんな事を繰り返すのが多重夢だ。
高校生の頃和室で昼寝をしている時に限って、不思議とこんな夢をよく見た。
それが不思議な話なのか怖い話なのかどうかも良くわからないまま、ただ覚めても覚めてもまだ夢の中であるあの妙な苛立ちや焦りは忘れられない。
さて、この「少女には向かない完全犯罪」はそんな、何度も何度もたどり着いた推理が覆される「多重推理」のミステリー
謎は全て解けた・・・と思ってからが長い!一つの事件を様々な方法で解き明かしていくため、さっきスッキリしたはずなのに、次の瞬間にはまた別の見立てが始まっているのだ。
しかも、ただ読者を煙に巻くために無茶をしているわけではないのがいい。いったん納得した推理をきちんと裏返し、そのたびに散らばっていた伏線をきれいに拾い直していくので、混乱するのに爽快感すらあったりする。
それにしても、少女と幽霊の完全犯罪請負人という組み合わせが実にいい。少女の無鉄砲さも、容赦ないツッコミも、たいへん好ましい。しかも相手が幽霊だろうがお構いなしで、使えるものは元気よく使うあたりがたくましいのである。
青年の側も、幽霊になりつつもわりと平常運転で、妙に便利に少女に使われている。
幽霊とのバディものというだけでも珍しいのに、少女と青年である。
というわけで、「少女には向かない完全犯罪」は、何度も推理が覆る快感と、ちょっと変則的で魅力的なバディものの面白さを一冊で味わえるミステリーだった。
これはひょっとすると、続編もいけるのではないか。いや、ぜひいってほしい。とはいえ次は、もうちょっと短くてもいいぞ。
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「確かに、幽霊も子供も一人じゃ何もできないよ。
でも、私たちが力を合わせれば、大人の誰にもできないことがやれると思わない?」なにもできない幽霊と
なにもできない少女が織りなす
頭脳戦の楽しみに満ちた爽快な復讐譚!
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