iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

『イン・ザ・メガチャーチ』ファンダム経済の怖さを覗く

朝井リョウの「イン・ザ・メガチャーチ」を読んだ。

 

推しという巨大なマーケット(ファンダム経済と言うらしい)に絡め取られる3人の視点から語られる、今の空気感を存分に味わえる物語。

 

とあるアイドルグループを売り出すために物語を使ったマーケティングを仕込むのだが、運営側がいかにファンたちを没頭させるために策を練っているかの現実が良く書き込まれている。

 

仕掛ける人たちと食い物にされている人たちの間を行き来しながらヒリヒリした気持ちで読みすすめた

 

私は今まで何度説明されても「推す」というのがどういう事かイマイチ分かってなかったのだが、この本を読んでなんとなく理解できたかも。

ただ、理解できただけで私は今のところ彼らのようなエネルギーを傾ける相手はいないし、いなくてよかったとも思う。

 

実際作中で本人たちは「気狂いの所業」と自分たちの事を称していたが、確かにもはや教祖と信者であり、彼らのやっていることは宗教戦争の様相を呈している。

 

最近、いろんな分野で「必要なのは物語」だなんて言われているけれど、なんだか怖くなってきたかも。

確かに収穫までに物語のある林檎のほうが、ただ林檎とするより売れるのかも知れない。

でも、私たちの行く先々全てに物語が用意されたら私たちは受け止めきれるのかな?

あふれかえるたくさんの物語に飽きたり、逆に物語になっていないものを読めなくなったりするのかも。

 

物語の終盤、「イン・ザ・メガチャーチ」の3人は同じ空間に集まる。

現実の人間関係をうまく築けなかった彼らが、そのあと何を選ぶのかははっきり書かれない。けれど私は、あの3人はちゃんと自分の現実と向き合っていくのではないかと思う。少なくとも、そうであってほしい。物語に飲まれたまま終わるのではなく、この世界で自分が引き受けるべきものを、それぞれの手で持ち直していくのではないかと。

 

本屋大賞おめでとう。受賞インタビューをYoutubeで見てその思ったよりさっぱりした顔立ちにも好感をもったし、コメントも良かった。

でもこの人痔なんだよな、とも思った。

 

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イン・ザ・メガチャーチ (日本経済新聞出版)

☆2026年本屋大賞受賞☆

【第9回未来屋小説大賞】
【第2回あの本、読みました?大賞】

沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。
あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」

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