頭木 弘樹 の「ひきこもり図書館 部屋から出られない人のための12の物語」を読んだ。
「ひきこもり」を扱った小説を集めに集めたアンソロジー
編者は自身も13年間も!引きこもった経験があるらしくまさしく当事者のリアルな紹介文が丁寧に書かれている。
あとがきに書いてあったが、引きこもりの人のために電子書籍でも購入できるようにしたらしく、細々とした気配りがさすが経験者。
私はどちらかと言うと逆引きこもりで一日中家にいることなんてコロナになるまでついぞなかったタイプだから、引きこもっている人の気持ちがわからない、それ以前に引きこもっている人の気持ちを想像しようと思ったことすらなかった。
ただ、案外引きこもりも悪くない。たのしそうじゃない?と思わせる作品も多かった。
萩原朔太郎の「死なない蛸」なんて怖いけど、宇野浩二の「屋根裏の法学士」なんて、そのお気楽な思考に思わず笑っちゃう。引きこもっていてもなおこんなに幸せそうなのは、もはや引きこもりの天才かもしれない。
ちなみにこの「屋根裏の法学士」は江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」を思い出すタイトルだが、どうやら乱歩のほうが影響をうけて真似をしたらしい。
すごい!
他には、梶尾真治の「フランケンシュタインの方程式」がおもしろかった。
宇宙船の中は外にでられないから究極の引きこもり、ってちょっと無理筋も感じるけど、滅茶苦茶SFとでも呼ぼうか結構こういうの好きなのでアリ!
ロバート・シェクリイ「静かな水のほとりで」もよかったなぁ。これもSF。
広い宇宙でただ一人、ロボットとともに生きる人生。
ロボットに回答を教えることはできても人格を与える事はできない。それなのにいつしか無二の親友のようになる二人。人間が死を迎えた時、動きを止める前聖書のフレーズを呟くロボット。本当に彼には人格はなかったのだろうか。
短いながらとても想像力を刺激するストーリー。
引きこもっいない人ももちろん楽しめる一冊。
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ノーベル文学賞を受賞したハン・ガンさんの
「私の女の実」(斎藤真理子訳)も本書に収録!
―――――――――――――――――――――――――ひきこもるとは、いったいどういうことなのか?
究極のステイホーム・ストーリーズが誕生!ひきこもるとは、いったいどういうことなのか?部屋の中で、何が起きるのか?
ひきこもっている間に、人はどう変わってしまうのか?「ひきこもり」をテーマにした斬新なアンソロジーが誕生しました。編者は、『絶望名人カフカの人生論』『絶望名言』『食べることと出すこと』などで知られる頭木弘樹。病のため、十三年間のひきこもり生活を送った編者ならではの視点で選ばれた、必読の名作群。
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目次
------------------◎萩原朔太郎「死なない蛸」
◎フランツ・カフカ「ひきこもり名言集」
◎立石憲利「桃太郎――岡山県新見市」
◎星新一「凍った時間」
◎エドガー・アラン・ポー「赤い死の仮面」
◎萩原朔太郎「病床生活からの一発見」
◎梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」
◎宇野浩二「屋根裏の法学士」
◎ハン・ガン「私の女の実」
◎ロバート・シェクリイ「静かな水のほとりで」
◎頭木弘樹「ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話」(上田秋成「吉備津の釜」)
あとがきと作品解説
次に読みたい本
フランケンシュタインの方程式が入っている短編集。時代を感じる。電子書籍になっていないのですぐには読むことができないので、かえって読みたくなるよね。

